内容説明
1941年、第二次大戦下のロンドン、ある屋敷のメイドだったローレルの母ドロシー(ドリー)は、国防婦人会で向かいの屋敷の美しい作家夫人の手伝いをするのが生き甲斐だった。故郷の家族を空襲で失い、ひとりになったとはいえ、結婚を誓った青年もいて幸せだった。しかし彼女の運命は急転回する。ロンドンの大空襲、そして……。70年後、ローレルはあの恐ろしい事件の真相を、母の過去を弟と二人で探りはじめる。メイド時代、写真の女性、高名な作家。浮かび上がったのは思いも寄らぬ母の姿だった。モートン・ミステリの真髄ともいうべき傑作。/解説=杉江松恋
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
382
★★★★★ モートンは相変わらず、終盤になるにつれてグイグイ読ませるなぁ…と思いながら読書する。 下巻では若き日のドロシーが更に好感度を下げることになっていき、むしろジミーとヴィヴィアンに幸せになって欲しいと思いながら読んだ。 過去作品の流れからして悲劇的な結末を迎えることを予想していたら、まさかのどんでん返し!からのほっこり!ちょこちょこ感じていた違和感が次々と回収される終盤は実に心地よい。2023/12/09
Nat
50
読み終わるのが残念なほど面白かったです。予想していなかった結末でしたが、とても良かったです。ところで、『忘れられた花園』でも感じたのですが、少し出会い方が違っていたら、それぞれ別の人生があったのかもと思えて、少しほろ苦い気持ちになります。(本当に好きな人と結ばれるとは限らないというかそんな感じ。上手く言えないのですが。)この物語の展開はこれ以外ないのですが、人生には出会いのタイミングがあるなということも、この作者の小説では考えてしまいました。でも、とにかくオススメです。2020/07/26
ゆーかり
25
面白かった。途中からなんとなく結末を予想して、良いところで過去と現在が切り替わってしまうのにもどかしさを感じもしたけれど、結末は予想以上。ドロシー、ヴィヴィアン、第二の人生。謎は解き明かして欲しかったけれど、死を目の前にした母親に辛い過去を迫るのは酷すぎると思っていたが、このラストなら納得。皆の想いが伝わってくる。良かった。2020/07/25
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
21
秘密に次ぐ秘密で、めくるめく謎が少しずつ明らかになって、ロンドン空襲に行きつき、そこでまた明らかになる過去。読後は悪くないしいろいろ納得で緻密な物語世界。面白かった。ロンドン空襲は「つぐない」やタイトル忘れた映画などの知識しかないけど、日本の「逃げるな火を消さない奴は非国民」とちがって酒場やカフェが営業したりして、何となくそれはそれで腹が座った国民性。実際は子供の疎開などあり悲惨だったにちがいないが、自由な思想まで奪われない感じがすごいな、と思った。2021/05/05
kaoriction@感想&本読みやや復活傾向
20
人生って何なのだろうか。秘密を抱えてまで、秘密にしてまで生き抜くそれは。目にしている、目に映る、その人の人生が全てではない。上巻の後半から もしかして…という疑念を抱き 下巻はそれを確認するかのごとく読んだ。少しずつパズルのピースがハマってゆく。最後の1ピースで「やっぱり」と膝を打ち、出来上がったパズルのボードを上から見るとその絵のなんと壮大なことか。幾重にも重なりすれ違い、交差してゆくそれぞれの人生。丁寧に描かれたこれは 間違いなくヴィヴィアンの物語だ。そして、家族の。久々の「ザ・小説」感。余韻が深い。2024/02/08
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