ビームコミックス 水野と茶山 下

著者名：西尾雄太【著者】

KADOKAWA（2020/01発売）

• ISBN：9784047358591

内容説明

自分らしくあるために、高校卒業と共に町から出ていくと決めていた水野。
家に縛られ、敷かれたレールの上をただ歩くしかないと諦観していた茶山。
すれ違いながらも高まる互いへの思い。それぞれの決心が揺らぐ中、ふたりはどんな未来を選択できるのか……。

生傷絶えない田舎町ガールズラブ、胸締めつけるフィナーレ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[麦ちゃんの下僕]

『彼女。百合小説アンソロジー』刊行記念オンライントークイベントの際に、オススメの“百合”作品としてどなたかが推していた作品（どなたでしたっけ…）です。校内で密会を重ねる水野と茶山は、親同士が町長選挙で対立し合ういわば“ロミオとジュリエット”。水野と周囲との関係や茶山へのイジメの問題なども絡んで、心身共にかなり痛々しい物語となっています。画のタッチやゴチャゴチャ感が苦手かな…とも思いましたが(苦笑)、だからこそ要所要所での画が効果的で、エンディングから戻る上巻冒頭のシーンも素敵だなぁ～と思いました。

2022/12/22

[akihiko810/アカウント移行中]

上下巻。田舎町。一大産業となっている茶園のひとり娘の茶山と、父親が茶園側に対抗し町長選挙に出馬している水野。ふたりは人知れず逢瀬を重ねる。6.5/10点　　センセーショナルな百合漫画。田舎の閉塞の中で、いじめられている茶山と人気者の水野が、人知れないように心を通い合わす。表紙から暗い感じの百合だということは想像ついたが、ここまで暴力的な展開になるとは思わなかった。もっとゆりゆりした展開になってもよかったし、逆にふたりが破滅につっきる展開になってもよかったと思う。そこまであまりハマれなかった

2022/05/08

[ちぇけら]

おとなのせいで愛せなくなったひとを、愛した。おとなたちのツケを払わされるのは、いつだって身動きがとれないこどもだ。流れているのは血ではない、涙なのに、どうしてこんなに痛いのだろう。こんなに不幸ばかりを感じるのに、おとなの前では幸福な顔をして生きている。この閉塞した街で誰かと関わるということは、生傷を創られる・抉られるということ。わかっているのに、愛情が湧き出てとまらない。あなたの唇が欲しくてたまらなくなる。「想ったぶんだけ鈍くなる」、だからってこの衝動は無視できない。鋭く火照ったからだが叫ぶのだ。好きだ。

2021/12/04

[緋呂吉]

逆転完全勝利は出来なくても、二人が負ける事がなくて良かった。てか茶山父、OROCHIを普段乗りしてんのあほだ 笑　最後にこれは言っておきたい。単行本の紙指定した人ばかだろ。カラーページがくすんで最悪の出来だ。電子で買う事をオススメします。

2022/01/02

[ふりや]

高校卒業と共に町から出ていくと決めている水野と、家業に縛られ田舎町にしか居場所の無い茶山。すれ違いつつもお互いを思う気持ちは高まっていく。町長選挙の結果や茶山の家庭での事情をきっかけにクラスからも浮いてしまい疎遠になってしまいますが、ひょんな偶然から再会し…中盤からラストにかけての疾走感は見事。田舎町の閉塞感や家庭のしがらみに囚われてしまった主人公たちが、高校生なりにそこから抜け出そうと傷付きつつも必死にもがく姿がこの作品の肝と言えると思います。未来の事は分からないけど、明るく救いのある結末は好きでした。

2020/01/31