内容説明
『怖い絵』の中野京子が、名画の奥に潜む画家の息吹と人間ドラマに迫る!
命懸けの闘い、とめられぬ恋、英雄達の葛藤、そして、流転の始まり……。ルノワールやムンク、モローなど名だたる画家による“運命”の絵。それは、世紀の瞬間を捉えた名画であり、描いた者の人生を一変させた作品である。絵画エッセイの名手による新シリーズ。絵画は36点をすべてカラー掲載。
【本書の掲載絵画】
ルノワール『シャルパンティエ婦人と子どもたち』
ムンク『叫び』
ジェローム『差し下ろされた親指』
ベッリーニ『好機』
ダヴィッド『書斎のナポレオン一世』
モロー『オイディプスとスフィンクス』
アングル『パオロとフランチェスカ』
ブリューロフ『ポンペイ最後の日』
など
解説・竹下美佐
※この電子書籍は2017年3月に文藝春秋より刊行された単行本を改題した文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
112
「運命の絵」シリーズ。歴史画、肖像画、風景画、風俗画、抽象画など、中野京子の語り口はいつも通り、滑らかで、鮮やか。表紙のピエール=オーギュスト・ルノワール「シャルパンティエ夫人と子どもたち」1878年。裕福な夫人と愛らしい子どもの肖像を、まだ若いルノワールに依頼したパトロンのシャルパンティエ氏は、やがて事業に行き詰まり、この絵の少女が成人になった頃、競売で売りに出された。ルノワールの出世の契機となったが、描かれた家族の没落との対比のエピソードが印象的。2022/10/21
坂城 弥生
47
表紙の幸せそうな家族のその後が切なかった。2022/01/25
Syo
39
「印象派」という言葉は嘲りから生まれた。 モネ、ドガ、ピサロ、ルノワール、スーラ…。 昔、フランスに行った時、現地の日本人ガイドが、僕ならルーブル美術館よりオルセーに行きますってことだったので、印象派の美術館、オルセーへ。 今、兵庫県立美術館でゴッホ展が。再開かって話を昨日、聞いたばかり。 倉敷の大原美術館に初めて行った時、そっか日本にある絵だから教科書に載せやすいのかって思った記憶が…。 絵画っていいよなぁ。2020/03/14
真朝
16
私にとって中野京子さんの文章はとても読みやすいです。長々とご高説を説かれるより、数ページで次の作品に移る所も好きです。 表紙にもなってるルノワールの絵の幼子がとても可愛らしく気に入っています。2020/03/22
おゆみ
10
知的好奇心をくすぐられる本て大好き。この本も最初から最後まで「へえ〜、へえ〜」と言いながら読みました。美術館行きたくてもいけないので、この本で「中野京子美術館」に行った気になりました。2020/05/26