内容説明
「安心・安全のシステムで、殺し屋、やってます」
殺し屋が解く〈日常の謎シリーズ〉開幕
コンサルティング会社を営む男、富澤允。
彼には裏の仕事があった。
650万円の料金で人殺しを請け負う「殺し屋」だ。
依頼を受けたら引き受けられるかどうかを3日で判断。
引き受けた場合、原則2週間以内に実行する。
ビジネスライクに「仕事」をこなす富澤だが、標的の奇妙な行動が、どうにも気になる。
なぜこの女性は、深夜に公園で水筒の中身を捨てるのか?
独身のはずの男性は、なぜ紙おむつを買って帰るのか?
任務遂行に支障はないが、その謎を放ってはおけない。
殺し屋が解く日常の謎シリーズ、開幕です。
解説・細谷正充
※この電子書籍は2017年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナルピーチ
143
経営コンサルタントと殺し屋の二足の草鞋を履く男…その男の名は“富澤允”。そんな彼が請け負った仕事を7話の短編集として読ませる本書。単に殺し屋としての描写だけでなく、ミステリー仕立てに謎を解いていくのも面白い。まさに現代版“必殺仕事人”狙った獲物は逃さないのだ!物語の構成も各話ごとにしっかりとパターンを変えて飽きることなく読む事ができる。特に最終話、依頼人からのターゲットはまさかの自分自身!?この仕事、どう請け負う?石持先生、また面白いシリーズを描いてくれてありがとうございました!2023/05/31
いこ
99
主役は、経営コンサルタントの富澤。裏の顔は殺し屋である。引き受けた依頼は、二週間以内で実にスマートに実行してしまう。本書で、この殺人シーンよりも多くの頁が割かれているのが、謎解きのシーンだ。殺される人それぞれに小さな謎があり、それをも富澤は鮮やかに解き明かす。なぜか水筒だけを公園で洗う女性。独身なのに子供用紙オムツを買う男性。吸血鬼に殺されたい女性。等々。驚きは、ラストで富沢自身を殺してくれとの依頼が来る。こんな連作7編。謎が解かれるとすっきりする。殺人という重いテーマを扱いながら、読後感は軽やかである。2021/09/08
Kazuko Ohta
80
「死んでいい人間なんていないんだ」と佐藤健くんは言っていましたが、こんなふうにいとも簡単に殺し屋の手にかかる人もいる。映画『AVA/エヴァ』ではジェシカ・チャステイン演じる殺し屋が、ターゲット殺害前に「あなたはいったい何をしたの?」と尋ねていました。殺し屋にこれはご法度だそうで、本書では殺害後にターゲットが消された理由を殺し屋が考える。ここに登場するターゲットは、それこそ死ななきゃいけないほどの悪人とは思えず、軽さがなんとも不気味。自分がもし殺されるとしたら、その理由は知っておきたいなぁ。続編も読むけど。2021/11/06
annzuhime
66
本業は経営コンサルタント、副業は殺し屋。依頼人とは直接繋がらず、間に仲介者が2人。殺す動機を知らされないままターゲットを見張ると、何やら気になる事が…。殺し屋の日常ミステリ。ゆるゆるとした雰囲気の中できちんと謎解き。そしてちゃんと殺してる。殺し屋としての仕事よりも謎解きがメインのお話。あっさりと読めるけどキャラが好きなので面白かった。でも殺し屋との結婚を真剣に考える彼女のことがかなり不思議で気になる。2020/09/07
涼
64
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2022/12/post-472ef8.html 依頼人と殺し屋の間には二人いるので、双方互いに知り合うことはないのです。リスク回避ですね。2022/12/06