内容説明
腐れ縁の新聞記者・関が手掛ける記事のために、引き続き怪談蒐集を手伝う大久保。怪異集めは順調のはずだったが、二人は些細なことから仲違いしてしまい……。ゾッとするのにどこか優しく切ない怪異譚!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さくりや
24
カクヨムが面白かったので。作者さんが慣れてきたのか文章濃度が高くなったような。読みにくいけどこの方が大久保の鬱々とした人間性が伝わってきて好きだし、多少読みにくい方が噛み締めて読める。「藤まとうひと」大久保と芸者の語りが入り混じる文章が凄く好き。乱歩とか夢Qとか谷崎にありそう。「帰らずのさか」関が読ませるお方なのね。がんばれ大久保まけるな大久保。大久保が死なないのはアレか、毒をもって毒を制す的な。綺麗にまとまっているけどまだまだ続きが読みたいし、大戦を経験した彼らも見たい。2019/12/11
さやなか
21
人形には魂が宿ると言われるが、それ以外、物や道具にも魂が宿る事がある。それがタイトルにも明記された「つくも」、漢字にすれば「九十九」である。ある日突然私の枕元にあるぬいぐるみ’sが話しかけてくれたら、怖いよりも嬉しいかもな…などと思ってしまうが、新聞記者である関と零細作家の大久保との周りとの縁やつながりにひどく哀愁をぶつけられ、こちらまでも変に鬱々としちゃうわ、なんて感じながらほんのり優しい気持ちになる作品です。死人と話すことができたならば、こんな世界観も悪くない。人は何かの代償を持って生きているのだから2023/03/13
きょん
14
今回は大久保せんせが頑張ってますね。『藤まとうひと』で大久保のモノローグがそのまま亡き女たちのモノローグに変わって行くのが読んでてぞくっとした。2019/12/09
雨
7
これで終わりなのかな?もう少し続いて欲しい。 最初は怖いより優しい怪談という感じです。後半は少し怖い。2020/02/28
yamakujira
6
怖がりの作家の大久保は、同級生だった傲岸不遜な新聞記者の関に付き合わされて、連載記事の取材として怪異収集にあちこち同行する。顔のない子供が現れる甘味処、楽団員の幽霊が演奏するダンスホール、眼球を取り換えてくれる古書店、持ち主を呪う着物を持て余す質屋、死者が袖を引く黄昏時の坂道、次第に身が危うくなっていくのに、恐怖はいつしか哀れみや切なさに昇華されていく。昭和初期という時代設定に束の間の平穏を感じて切なさがつのるなぁ。タイトルの「続」の字が帯に隠れて見えなかったけれど、前作も読みたくなった。 (★★★☆☆)2022/01/14