講談社学術文庫<br> 雇用、利子、お金の一般理論

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講談社学術文庫
雇用、利子、お金の一般理論

  • ISBN:9784062921008

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内容説明

この本が、経済学を変え、世界を変えた。
――正確で明快な新訳で読む社会科学史上の偉業

物が売れない、職がない――なぜ市場は自由放任では機能しなくなることがあるのか。ケインズは自らも通暁する古典派経済学の誤謬と限界を徹底的に見据え、ついに現代経済学の基礎となる本書に至った。現実世界に直面し理論をラディカルに(皮肉とユーモアも効かせて)更新する、科学という営みの理想形。
本書の核心を定式化したヒックスの重要論文『ケインズ氏と「古典派」たち』も採録。

ポール・クルーグマン「イントロダクション」より
経済停滞は、経済繁栄の過剰に対する必然的な罰なのだという発想は根強い。経済がそもそもどうやって停滞するに至ったかではなく、どうやって停滞にとどまるかを分析することで、ケインズは経済の苦悶に何か懲罰的なものがあるという発想を葬り去った。つまり『一般理論』は、知識の豊かな規律あるラディカリズムの成果なんだ。

目次

イントロダクション――ポール・クルーグマン
日本版への序(1936年)
序文
第1巻 はじめに
第1章 一般理論
第2章 古典派経済学の公準
第3章 有効需要の原理
第2巻 定義と考え方
第4章 単位選び
第5章 期待が産出と雇用を決める
第6章 所得、貯蓄、投資の定義
第6章おまけ 利用者費用について
第7章 貯蓄と投資という言葉の意味をもっと考える
第3巻 消費性向
第8章 消費性向1:客観的な要因
第9章 消費性向2:主観的な要因
第10章 限界消費性向と乗数
第4巻 投資の誘因
第11章 資本の限界効率
第12章 長期期待の状態
第13章 金利の一般理論
第14章 金利の古典派理論
第14章おまけ マーシャル『経済学原理』、リカード『政治経済学原理』などでの金利について
第15章 流動性を求める心理と事業上のインセンティブ
第16章 資本の性質についての考察あれこれ
第17章 利子とお金の本質的な性質
第18章 雇用の一般理論再説
第5巻 名目賃金と物価
第19章 名目賃金の変化
第19章おまけ ピグー教授『失業の理論』
第20章 雇用関数
第21章 価格の理論
第6巻 一般理論が示唆するちょっとしたメモ
第22章 事業サイクルについてのメモ
第23章 重商主義、高利貸し法、印紙式のお金、消費不足の理論についてのメモ
第24章 結語:『一般理論』から導かれそうな社会哲学について
ケインズ氏と「古典派」たち:解釈の一示唆――ジョン・R・ヒックス

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

k5

66
四連休の自分への宿題として読みはじめましたが、想像以上に大変でした。公共事業として、お金を土に埋めて掘り返させるだけでもやらないよりマシという話が出てきますが、今の状況だとすごく説得力があります。あとは数式がわかれば。。。訳者の山形浩生さんのホームページに、章ごと、段落ごとの要約があって大変お世話になりました。死ぬまでに通読で読み返すことはないと思いますが、マクロ経済学は勉強しようと思います。2020/07/28

著者の生き様を学ぶ庵さん

30
供給すれば需要が出来る古典派とは全く違う独自理論をピグー教授にぶつけるケインズらしさが清々しいが、「完全雇用が達成出来た後は、古典派分析に反対する事はない」と書かれ、理解が難しくなる。ここから新古典派とケインズ理論を結合させたサミュエルソンの新古典派総合なるキメラが生まれ、ミクロ経済学は新古典派、マクロ経済学はケインズ、しかしマクロにもケインズ理論に反対の合理的期待形成学派・マネタリスト、ケインズと異なるケインジアン(左派+右派)などが登場する。経済学は統合されず、永遠に異種格闘技のよう。やれやれ。2016/12/23

Francis

18
アダム・スミス「国富論」と並ぶ近代経済学の名著。塩野谷祐一、間宮陽介訳ですでに三回読んでいるが、この山形浩生訳が一番読みやすくて分かりやすい。ちなみに二番目は塩野谷訳で間宮訳ははっきり言って止めたほうが良い。この「一般理論」についてはすでに語り尽くされた観があるが、決してそうではない。これは読む度に新しい発見がある本当の意味での古典。サマーズ対バーナンキ論争で世界経済は長期停滞に入ったのではないか?と経済学界の一部で言われているが、第24章はまさにその様な時代の今こそ読み直す価値があると思う。2018/06/29

壱萬弐仟縁

16
1973年初出版。P.クルーグマンによると、ケインズも完璧ではなかった。それは、成熟経済が収穫逓増を振り払う能力を過小評価した点(イントロ26頁)。社会が豊かなほど、潜在的な生産能力と実際の生産量との差は大きくなる。だからシステム欠陥もとんでもなくなる(81頁)。現代の孤立無業(SNEP)を考える上で、限界消費性向が1よりあまり小さくなければ、投資が変動しただけで雇用も上下し、同時に、投資をほどほど増やす(現代のNISAか)と完全雇用が実現(181頁)。マーシャル『経済学原理』などのおまけも(261頁)。2014/01/19

yuui02

4
失業は金利を通じてお金の量に左右される。失業の原因は総需要不足。消費や投資に使わないから需要が不足して失業が起きる。流動性選好は実体経済の状況とは必ずしも関係ない。投資は期待収益が金利を上回らないと起きない。失業をなくすためには公共事業で需要をつくるか、金融緩和で金利を下げる。消費と投資を促さないと所得は増えないのに、増税をしたからアベノミクスが失敗するのはあたりまえ。(個人的には米ドルを救うためのものだとおもってますが)2016/09/06

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