内容説明
雪が降る。加賀の雪は、赤い雪だ。
雪中に翻るは、「風」の旗――。
戦国の乱世に、加賀の地において
百年にわたって独立国家を成した「百姓ノ持チタル国」
――その誕生前夜に、北方文学が挑む!
「これぞわが心の記念碑」(北方謙三)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
50
加賀を席巻する一向一揆をきっかけに、拗らせていく守護と地侍たちの対立。それぞれの正義。風谷小十郎はやっぱり優等生過ぎる。許嫁を殺されても幼馴染と剣を交えても、加賀の未来を俯瞰しようとする。狂気のごとく猛進する守護・冨樫や領内の僧・蓮光たちの方が共感し易い。今までの北方作品なら、叶わぬ夢を追う冨樫辺りが主人公だっただろう。それでも葛藤し続ける小十郎の絶望と未来こそが、人間の可能性なのかな。もっと深く長く読み解きたい物語だった。2021/06/08
優希
45
戦場が別々の明日へと誘っているようでした。かつて共に闘った人たちが離れていくのが歴史の波というものなのでしょうか。そして再び血の流れる時へと向かう。加賀の一向一揆の時代を生きた男たちの姿が刺さります。2022/03/20
大阪魂
38
加賀の一向一揆が守護を倒して共和国をつくった歴史を若き有力地侍の頭領・風谷小十郎を主人公に語ったストーリーの下巻!さすが北方さんやねー、豊かな国を目指すのは一緒なんやけどアプローチの違いで対立する漢たちの生きざまをむっちゃ鮮やかに楽しませてもろた!小十郎はもちろん守護・冨樫政親、笠間藤次、小杉芳蔵、佐門、山の衆・進二郎たちの漢っぷり、小十郎が商いの道に乗り出すエンディングはやっぱ楊令を彷彿!ただ最後が結構あっけなかったんは残念…やっぱ水滸みたく大長編とはゆわへんけど2巻で終わるんはもったいなかった気する…2025/10/10
フミ
19
応仁の乱の時期の「加賀一向一揆」を題材に、加賀南部の独立自尊な地侍「風谷小十郎」、加賀の守護「富樫政親」、足利9代将軍「足利義尚」など、様々な視点で描かれていく作品の下巻です。 過去に読んだ、戦闘的な北方さんの作品(敵を置き、軍備、調練、戦闘の流れ)と違い「加賀の宗教勢力と、どう向き合うか?」が軸ですので、かなり後半にならないと、事態が動かず、少しじれったい感じがしました(苦笑) 北方さん、60年代に学生運動に参加経験有りだそうですが、これは暴動を抑える側の視点だなぁ…と感じながら、読んでおりました(笑)2025/05/17
Book Lover Mr.Garakuta
19
いやあ実に面白い作品ですね。余り歴史に明るく無いので、新しい事を知り感動の涙に浸る思いでした。そうなんやと思いつつも、当時生きてきた人たちが生き生きとえがかれていて実によかった。当時の人々も苦労人が多かったんだろうなと思いましたよ。因みに背景は、日本の戦国時代の北陸(加賀地方)の物語。2020/06/06
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