内容説明
雪が降る。加賀の雪は、赤い雪だ。
雪中に翻るは、「風」の旗――。
戦国の乱世に、加賀の地において
百年にわたって独立国家を成した「百姓ノ持チタル国」
――その誕生前夜に、北方文学が挑む!
「これぞわが心の記念碑」(北方謙三)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
49
加賀を席巻する一向一揆をきっかけに、拗らせていく守護と地侍たちの対立。それぞれの正義。風谷小十郎はやっぱり優等生過ぎる。許嫁を殺されても幼馴染と剣を交えても、加賀の未来を俯瞰しようとする。狂気のごとく猛進する守護・冨樫や領内の僧・蓮光たちの方が共感し易い。今までの北方作品なら、叶わぬ夢を追う冨樫辺りが主人公だっただろう。それでも葛藤し続ける小十郎の絶望と未来こそが、人間の可能性なのかな。もっと深く長く読み解きたい物語だった。2021/06/08
優希
44
戦場が別々の明日へと誘っているようでした。かつて共に闘った人たちが離れていくのが歴史の波というものなのでしょうか。そして再び血の流れる時へと向かう。加賀の一向一揆の時代を生きた男たちの姿が刺さります。2022/03/20
Book Lover Mr.Garakuta
18
いやあ実に面白い作品ですね。余り歴史に明るく無いので、新しい事を知り感動の涙に浸る思いでした。そうなんやと思いつつも、当時生きてきた人たちが生き生きとえがかれていて実によかった。当時の人々も苦労人が多かったんだろうなと思いましたよ。因みに背景は、日本の戦国時代の北陸(加賀地方)の物語。2020/06/06
豆電球
14
戦国時代の始まりに、その後を予見するかのような加賀一国の争乱。まさに戦国時代の縮図とも取れます。加賀の守護、地侍、本願寺の僧たちに門徒、将軍家、加えて山の衆など独自の生計を立てる者たちに名もなき民。一部を除きほとんどの人間が己の欲の為に戦っているのではないという事。行き着くべきは平らかな世であると皆が思っている。ただそこへ辿り着く為に描く道のりが違うというだけ。こんな本を書いてしまう北方謙三は本当にすごい。日本が舞台の歴史小説はこれで書ききったと仰っているようですが、そう言わずまだまだ読みたいです先生!!2022/07/15
フク
7
手取川や砺波で校長直伝のダジャレが効いてくる。どうゼミ恐るべし。2020/12/28