内容説明
悪い奴は誰も、その男の顔を知らない――
逢坂剛が描く〈火付盗賊改・長谷川平蔵〉シリーズ、第三弾。
不届きにも、「闇の平蔵」と名乗る者が現われた。
闇の平蔵は、「火盗改が、悪党どもを成敗処罰するのと引き換えに、
捕り方の役人を同じように成敗処罰する」と公言し、
火盗改や役人に強い遺恨を抱いている悪党を集めているという。
その噂を聞きつけた長谷川平蔵組の斧八は、「闇の平蔵」の人集めへ潜り込んだ。
「闇の平蔵」は、かつて、遊蕩していた頃の長谷川平蔵に何度も煮え湯を飲まされ、
恨みを抱いているという。そこに来ていた紅一点・可久は「闇の平蔵」に、
その話を信用してほしければ頭巾を脱いで顔を見せろ、
お前は実は長谷川平蔵なのではないか、と迫る。
闇の平蔵は頭巾を脱いだが、
手下の斧八でさえ長谷川平蔵の顔をまともに見たことはなく、
彼が長谷川平蔵なのかそうでないのか判断がつかない。
だが、可久は、「この男は本物の長谷川平蔵だ」と言い、闇の平蔵もそれを認める。
慌てた斧八だったが――(「闇の平蔵」)
表題作ほか、全六篇を収録。
長谷川平蔵に対抗心を抱く火盗改・松平左金吾が登場、
新たな手下・可久も加わり、物語はますます深みを増す。
まさに江戸を舞台にした潜入捜査。
悪党どころか、手下たちも顔を知らない男・長谷川平蔵のハードボイルドな活躍を描く。
※この電子書籍は2016年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
64
この巻に初登場の可久と云う姉御、使われるだけじゃない所謂自立した手先、出来る女だ。顔を晒さない平蔵と云う仕掛けを以て筋の読み合いに使って来たが、ここにきて可久と云う一見したところの不確定要素を放り込むことによって読者の意表を突こうかと云うところか、そうは云っても癖のある姉御の個性が魅力的で物語が面白味を増したことは確かだ。2020/04/27
ALATA
33
火盗改、第三集。今作は手練手管でどんな男でも口説き落とす女狐、お可久がいい味を出している。「どうせお前は生きて娑婆に戻れぬ」平蔵に惑わされ命を落とす阿古屋の長八「可久あるべし」。闇の世界で、捕り物の役人を始末する裏の火盗改「闇の平蔵」が好み。「あいや、しもうた‥」知恵のまわるものはその知恵のために自らの首を絞める「あいやもの半次郎」でちょっと襟を正す★4※「お付き合いしますよ旦那」今日こそ可久を飲みつぶしてやろうと肚を決める仁兵衛がニヤリ。2021/10/17
HMax
32
「女子を盾にするようなやつに、仁義などいらぬことよ」、後先になりましたが、鬼平が大活躍の「闇の平蔵」。途中、すっかり平蔵の術中にはまり、何度も騙されてしまいました。お可久が仁兵衛の手先になった経緯は大したことありませんでしたが、3話も活躍で大満足。どうして子供に優しいのかは次の「平蔵の母」で明らかになるので楽しみにしてくださいね。2020/08/11
HaruNuevo
9
逢坂版長谷川平蔵シリーズ文庫第3弾。裏の裏をかき、斜め上から盗賊を絡めとる長谷川平蔵。 まあ後出しジャンケン的な話の運び方でもあるのだが、各話終盤に手妻のようにカラクリが解き明かされる様が心地よい。 脇役のキャラ付けにはあまり労力を割いていない本シリーズではあるが、本巻から登場の女密偵可久が脇役として異彩を放つ。2023/08/28
おとん707
8
「鬼平犯科帳」読んできたが残りあと4巻。全部読み切ってしまうのは寂しいのでちょっと寄り道でこの平蔵を読んでみた。同じ火付盗賊改方長谷川平蔵だがまず違うのは役宅の位置。鬼平では江戸城清水門外だったがこちらは本所三ツ目橋近く、今の菊川駅の辺。登場する与力、同心、手先(鬼平では密偵)や料理屋、船宿なども鬼平と同じものはない。平蔵の扱いも鬼平ほどは現場に現れず配下の与力を巧みに使う長官平蔵が描かれているがこれはこれで面白い。鬼平のおまさに対しお可久という手先が出てくる。性格は随分違うが物語にいい味を添えている。2023/12/12
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