内容説明
1944年6月、ノルマンディー降下作戦が僕らの初陣だった。特技兵(コック)でも銃は持つが、主な武器はナイフとフライパンだ。新兵ティムは、冷静沈着なリーダーのエドら同年代の兵士たちとともに過酷なヨーロッパ戦線を戦い抜く中、たびたび戦場や基地で奇妙な事件に遭遇する。忽然と消え失せた600箱の粉末卵の謎、オランダの民家で起きた夫婦怪死事件、塹壕戦の最中に聞こえる謎の怪音――常に死と隣あわせの状況で、若き兵士たちは気晴らしのため謎解きに興じるが。戦場の「日常の謎」を連作形式で描き、読書人の絶賛を浴びた著者初の長編ミステリ。【目次】プロローグ/第一章 ノルマンディー降下作戦/第二章 軍隊は胃袋で行進する/第三章 ミソサザイと鷲/第四章 幽霊たち/第五章 戦いの終わり/エピローグ/主要参考文献ほか/解説=杉江松恋
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
342
兵士が命を削り戦う戦場で、食事という唯一の癒しで支えるコック達のストーリーと期待した。想像とは大分違ったが素晴らしい作品でした!ヒトラー率いるナチスドイツの侵略戦争に巻き込まれ、敵味方、一般市民から子供まで凄惨な最期を余儀なくされる悲劇の日常を描きつつ、ふと生じる謎や事件の推理が入り込む。圧倒される文字量に読み始めを躊躇するが読み進むスピードは予想外。命と友情、テーマは重厚なのにミステリーのようにライトな読み口。途中少しの冗長さはあるが全編が助走となりエピソードで美しく昇華する展開に驚く!良かった‼️🙇2020/01/13
ソルティ
332
戦争の話を読むのは初で、人を人とも思わない殺戮、死体が敵も味方も山のようにある、それが日常と化してしまう状況の恐ろしさを感じた。それでも敵は憎いが人は好きという主人公ティムの姿勢が素敵で、仲間想いで、こんな殺伐とした世界なのに愛を感じた。ナチス政権はヤバい。「夜と霧」も写真付きで見ると本当に人の尊厳などない。この小説の収容所も描写凄まじい。戦争ない時代で良かったな。「「そんなものだろう。敵味方なんて、状況が違っていれば簡単に入れ替わってしまうものだと思うぞ。味方に嫌な奴がいるように敵にも良い奴はいる」」2022/08/28
mapion
188
ミステリー部分を読むと日常系。場が戦場という非日常的な状況の中で起こる事件と解決まで。なのですが、戦場での兵士たちの生活として読むと深みが出てきます。戦闘もありますが兵站の事情、彼らの食事、武器の扱い、衛生兵のこと他、結構詳細に語られているのが嬉しい。そして戦う仲間達との友情が胸に来ます。戦場はノルマンディー作戦以降、主人公達はアメリカの兵士。戦場物として終始しても十分な出来栄えに思えますが、そこに軽いミステリー調の話が挟まれ、鬱屈感を紛らわしてくれる感じ。同作者の『ベルリンは晴れているか』が楽しみです。2026/09/08
のり
159
第二次大戦で亡くなった人は6千万人を超えるらしい。アメリカ目線からというのは初めて読んだ。連合国を敵に回しながら、一歩も引かなかったドイツの技術力の高さと戦闘力 には改めて驚愕。本編は一線で戦いながらコックの仕事をこなす者達。戦場では仲間意識から家族へと変わる。常に死と隣り合わせの日々。生き残った者の葛藤。終戦を経ても人生は長く続き心労は尽きなかっただろう。国内では中々報道されないが、まだまだ世界では紛争が絶えない。人間は争う生き物なのか…愚かしい事だ。2020/06/10
kanegon69@凍結中
152
この若さで第二次大戦の物語をここまで書けるとは正直驚きです。ノルマンディー上陸作戦(Dデー)の様子、フランス・オランダ・ベルギーでの戦線の様子が非常に細やかに書かれており、まるでノンフィクションを読んでいるかのような迫力がありました!しかしこの本は戦場のコックの視点というあまり気にしていなかった見え方ができて面白かったですね。それからミステリーの要素、謎解きもなかなか深い話でよかった。後半はもう一気読みで止まらないぐらい夢中で読みました。戦友同士の熱い絆に激しく心を奪われ、余韻がすごく残るいい作品でした。2019/11/24
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