内容説明
公爵家の血を引く若き天才浮世絵師・千秋遠文。その版元にして、情人でもある雨宮紫朗は、遠文に対してある疑いを抱いていた。遠文が無意識のうちに描いた絵が、いま巷を騒がせている華族連続殺人事件を予告するものとなったからだ。はたして遠文に事件とどんな関りがあるのだろうか? そんな時、遠文のもとに藤堂男爵家の令嬢・香耶子をモデルに絵を描いてほしいとの依頼が舞い込み…。※イラストは収録されていません。
感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
35
貫井徳郎氏の『鬼流殺生祭』や『妖奇切断譜』、栗本薫さんの六道ヶ辻シリーズを彷彿とさせる人の業を淫靡に描いた作品。曼珠沙華がまだ、咲いている時期に読み終わることができてほっとしています。逢魔が時の夕闇のような表紙の色と題名ともなった蜜柑の暗喩が明らかになった時の戦慄は忘れそうにもありません。こんなことが起きてしまったのは時代だったのだろうか、人の心だったのだろうか。残酷な部分をざわめかせながらも叶わぬ想いを抱えてきたあの人にとってあの絵は救いでもあり、餞ともなったのだろう。最後に彼等には幸せになって戴きたい2013/09/28
punto
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追記。2008/12/03




