内容説明
敗戦の記憶は、日本人の想像力を母子相姦的な構造の中に閉じ込めた。映像の20世紀の臨界点、戦後アニメーションの3人の巨人は、この「母性のディストピア」にどう対峙したのか? 宮崎駿は「母」の胎内で飛ぶことを夢見る少年たちを描いた。富野由悠季はモビルスーツという仮初めの身体と架空年代記を繰り返し破壊しつつ、「ニュータイプ」という想像力を追い求めた――『ゼロ年代の想像力』に続く傑作評論、待望の文庫化
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
35
ゼロ年代批評っぽく冒頭の煽り文を書くセンスが根本的に合わないと感じでしまいます。要は自分を確かめるための文章ですが、著者の自己愛がこう叫んでいる様に聞こえます。「母さんなんて、ぼくのこと何も分かってないじゃないか!」この後、自ら展開される議論から批判されるようなことを不用意に書く必要があるのでしょうか。さて、本作は社会反映論です。①サブカルのコンテンツを批評し、②日本社会を論じるのですが、第1章が①で、第2章以降は①ということになります。①における目配りの広さ、言及の仕方はサブカル批評では最も読み易く、お2021/11/24
鼠∞
19
ガンダムシリーズをそこそこ観た上でリベンジ。当然ながら、ガンダムを知らなかった前回に比べると楽しめた。「母性」というキーワードで宮崎駿や富野由悠季を批評する時点でなかなかクレイジーな本書は、戦後の日本批評とアニメ批評をリンクさせているため難解でもある。ガンダムシリーズを(批判的ながらも)総括してくれているので、元々このシリーズがどういったコンセプトで作られたのかを見通すことができた。『逆襲のシャア』のショッキングなラストも、そういうことかと納得。『攻殻機動隊』を履修した上で押井守を論じた下巻へ。2021/08/09
鼠∞
19
ガンダムはおろかジブリすらロクに観てないせいでなかなかついて行けなかった。現状、読む資格さえないと思われるので、下巻読む前にこの辺を色々チェックせねば。日本が敗戦後負った傷跡がいかに様々なアニメ作品に顕れているかを批評しタイトルの「母性のディストピア」なる概念を提唱する著者。サブカル批評系は、読んでてちょっと穿ち過ぎじゃないかとか色々思うところがあるのは確かだけど、真っ当な批評なんかよりもぶっ飛んだモノの方が気になるのでそれくらいが丁度いい。2019/08/07
鳩羽
10
宮崎駿、富野由悠季、押井守といった日本アニメーションの巨人達が表現しようとし、ぶつかってきた困難について論じることで、現代日本の「政治と文学」「公と私」の分断から生じた個人の苦しみや社会の機能不全を明らかにできないか試みている。虚構でしか描けない現実を、個人にまで届かせるにはアニメは適したメディアだったろうが、大きな物語が通用しなくなったときから、遅かれ早かれアニメでも公を映す現実を全体に向けて伝えきれなくなるのでは。母性という言葉の使われ方や成長モデルが少年限定なところなど、一般化できるだろうか。2019/08/07
しゅー
9
★★★三宅香帆がYouTubeで紹介してた批評本。濃密な書きぶりに圧倒されてお腹いっぱい。なぜ私が『もののけ姫』に心を動かされないのか、ガンダムの世界観にどんどんついていけなくなったのはなぜかなど、個人的な疑問が解消されていった。最近読んだ東浩紀『動物化するポストモダン』とのつながりも感じる。本書のスコープ外の話だけど、「では『父』が矮小化していない世界はユートピアなのか」「全世界的な視点で日本の『敗戦』をどこまで特別視してよいのか」「『政治の季節』は果たして良いものだったのか」などの問いが生まれてきた。2026/02/06
-
- 電子書籍
- シリコンバレー式 心と体が整う最強のフ…
-
- 電子書籍
- 少年Aは嘲笑する 7 恋するソワレ




