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内容説明
「国家=野蛮なるもの」はいかに誕生したか? 熊をカミとする狩猟民たちの「対称性の思考」とは? 「哲学」と「権力」が共存する冬の祭りの秘密とは? 王を戴く国家が「無法の野蛮」と結びつく根源へと遡行する。
目次
はじめに カイエ・ソバージュ(Cabier Sauvage)について
序章 ニューヨークからベーリング海峡へ
第1章 失われた対称性を求めて
第2章 原初、神は熊であった
第3章 「対称性の人類学」入門
第4章 海岸の決闘
第5章 王にならなかった首長
第6章 環太平洋の神話学へ1
第7章 環太平洋の神話学へ2
第8章 「人食い」としての王
終章 「野性の思考」としての仏教
補論 熊の主題をめぐる変奏曲
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
デビっちん
24
再読。一昔前は、人間が努力し自然との間に対称性をつくりだしていましたが、その関係性が非対称になってしまったことが各国の神話を読み解くことでわかります。自然の力を拝借しようと関係性を築いたのに、それを自らに取り入れ、制御しようとすることで決別してしまったのです。その変遷の理由、その伝え方にはヤラれたーの一言です。2018/12/18
ykshzk(虎猫図案房)
18
人間達が自分以外の生き物との対称性を失ったこの世界は、なんと暴力的で野蛮なことだろうか!と改めて感じる。新石器時代の戦争は、自分の部族の弱者を守り相手に報復するためだけのものであり、報復が完了したらそれ以上はせず、野蛮さは無いものであったそうだ。この世界の自然の力の秘密を握っているのは動物達であり、彼らが真の権力者・・自分が人間より動植物に惹かれるのは世界の成り立ちを知りたいからなのかも。野蛮な人間達が自然との対称性を取り戻すことは出来るのか。5冊シリーズの2冊目から読んでしまったが、1から読み直します。2026/05/15
かふ
12
中沢新一はオウム事件があるから取り扱い注意作家なのだが、この講義録は学生がまとめたもので面白い、熊人間の寓話なのだが、そこから熊と人間を繋ぐ想像力みたいなもの、それをニューロンとかで説明しているのだが、詩の象徴性ということで役に立ちそうな。きっかけは『現代思想』の野生の思考ということなのだが、熊が害獣として排除される世界では、トランプのアメリカのようなことが起きている。そこに柳田國男らの民族学から共存の道を探っていくというような。 2026/05/29
白義
12
かつて、神話により文化と自然に対称性が保たれていた時代は、国家や王を未だ持たず、変化の少ない冷たい社会だった。技術による対称性の破綻、文化の過剰や自然権力を身体に取り込む政治的王の誕生により、今に繋がる国家社会が生まれる。それによって覆い隠された国家以前の社会、ミッシングリンクを神話の精緻な解読から復原させ国家の起源に迫る気合いの入った論考。熊への愛情が豊富で牧歌的な味わいもある2012/03/23
ハチアカデミー
11
B 「文化というものの本質はポエジー(詩)である」という折口信夫の言葉を補助線とし、環太平洋の地域の神話・伝説を繋ぎ合わせる。自然と人間を対立するものではなく、並ぶものであると考える思考=対象性の思考から生み出される神話では、熊と人が交換可能な存在となる。自然の驚異の象徴としての熊→熊の擬態をする人間が「野生」の象徴となる→カニバリスム(人喰い)は自然が人間を搾取する儀式である、という論の推移が刺激的。またアナーキズムの思想と対象性社会の人々を結びつける指摘にも納得できた。2012/04/22




