内容説明
フランス・ルネサンス文学を代表する作家ラブレーの記念碑的傑作──爆発的な哄笑と荘厳とが交錯する不思議な文学世界の魅力を伝える新訳、完結。「聖なる酒びん」のご託宣を求めて大航海へと船出したパンタグリュエル一行は、難儀な教皇鳥や司教鳥の飛び交う“鐘の鳴る島”、刀剣の類が実る大木の茂る“金物島”などの異様な島々を巡り、ついには神託所に到達してお告げを解き明かす。奇想あふれる版画「パンタグリュエルの滑稽な夢」全120点を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
100
ラブレー死後10年してから刊行されたもので、少なくとも編集は他社によるもの。本文も定かではないが、確かにラブレーのもつキレがない。ギリギリのところで下品にせずに笑いにしてしまうセンス、そこに社会風刺を巧みに織り込み、普段の苦しい生活とかけ離れた特のある豪傑を、人々は喜んで迎えたのだろう。フランスのカリカチュアの精神は、こんなところから生まれたのか、そういう土壌を常に持っていたのか…。本文のあとに、「おなかパンク島」のイラストが100ページほど。解説は必読。2015/06/16
かんやん
29
最終巻は偽書らしく、これほど訳者にこき下ろされている翻訳書も珍しい。曰く「文学的価値はがくんと落ちる」「ラブレー流の豊穣にして多義的な面白さに達していない」等々。全く無視している研究者もいるらしい。目利きでない読者からしたら、え!そんなにつまらないかな……と。じゃ、おもしろいかと訊かれたら、まあ、お薦めするのは躊躇われてしまうけど。違いの分からない男、かもしれんが、一度乗りかかった船なのだから、最期までは航海に付き合いますよ。諷刺とナンセンスに満ちた島々を経て、聖なる酒瓶の託宣は如何。2020/12/02
りんご
3
ラブレーの死後発刊されたもので、どこまでがラブレーによるものなのか疑問が多く残るものだそうです。それ故か、第四の書までとは、少し異なっていて、大航海の目的を達成させるためのような感じです2022/12/08
nora
3
「第三の書」以後はどんどんつまらなくなるので、研究者以外は読み通すのがやや困難かも。意地で最後まで読みましたが、いつか面白く感じる日がくるのでしょうか(笑)。が、しかし、この巻には『パンタグリュエルの滑稽な夢』と称する120枚の図版がついていて、ボスやブリューゲルを想起させる奇想に満ちた画集なので、これは一見の価値があります。(←フォローになってる?)2012/09/06
Norihiko Shr
2
多分これはラブレー作でない部分もかなり含まれているな。第4の書まではかなり面白かったが、消化しきれてない。かならず再読するさw2014/04/18