内容説明
11世紀末、第一次十字軍の奮闘により、聖都イェルサレムが占領され、中東に「十字軍国家」が成立した。しかしイスラム側の英明な領主たちの反撃を前に、キリスト教勢力は領土を失い、苦境に陥る。最後の希望を一身に集め、「癩王」と呼ばれた若きボードワン四世は、テンプル騎士団や聖ヨハネ騎士団の力を借りて総力を結集。「聖戦」を唱えるイスラムの英雄サラディンとの全面対決を迎えるのだった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NICKNAME
74
二巻目もスイスイと読んでしまった。イエルサレムをキリスト教から奪還した、イスラムの英雄サラディンは実はクルド族であるとのこと。現在クルド族が虐げられているこの現実を彼が知ったらどう思うのだろうか。またクルド族を虐げているその他のイスラムの人々は、過去の英雄サラディンに対してどう思っているのだろうか?同じ宗教内の派閥争いというものは絶えないものなのであろう。またキリスト教側のボードワン4世という短命の英雄の存在感もなかなかであった。2019/03/03
ヨーイチ
72
二巻はイェルサレム王国の防衛物語。有名なサラディンってこの時代の人だったのね。当時の戦争、戦術、砦、兵站、海上戦力、宗教を含めた政治、外交、めまぐるしい程の情報量。にも関わらずこの人の物は不思議と頭に入ってくる(気がする)。文明の交差点で一神教の聖地に於ける国家と民族の興亡を想う。そして記録された蛮行と騎士道精神。極東の、概ね単一民族単一国家しか知らない小生にとっては限りない刺激的な読書体験であった。紹介したいことが多いが多過ぎて。2019/02/12
molysk
58
第二巻は、サラディンによるイェルサレム奪還まで。イスラム側にはザンギ、ヌラディン、サラディンと英雄が続々と登場するが、十字軍国家には建国の英雄に匹敵する人材が続かない。癩王ボードワン4世の悲愴な活躍も、イェルサレム王国の衰運を覆すには至らず、聖都はイスラムの手に戻る。十字軍国家の泣き所は、人材の差もあるが、戦力の絶対的な不足にあっただろう。宗教騎士団に身を捧げる騎士は一定数存在したが、西欧の王侯が率いるまとまった援軍は、イェルサレム陥落といった危機に至るまでは現れることなく、以後はイスラムの優位が続く。2020/01/03
えりか
58
頂き本。でた!テンプル騎士団!二巻は第一次十字軍のイェルサレム奪還後から、再びその聖地がサラディン率いるイスラム領となるまで。十字軍側だけでなく、イスラム側の動きや、エコノミーアニマルたちの思惑など、国内外の動きも描かれている。英雄には、実力はもちろんのこと、運にも恵まれていないとなれないのだ。病気を患いながらもイェルサレム王として統治し、果敢に戦ったボードワン4世の姿は勇ましさの中に悲哀が滲んでいて、切なくかっこいい。そして城塞のあの建築様式と、そして圧倒的であり堂々たる存在感、やっぱり好きだなぁ。2019/03/02
活字スキー
46
【あなたは早晩イェルサレムを手中にする。しかし、われわれは最後の一人まで闘いつづけるだろう】歴史面白し!!第一次十字軍はなんやかんやで成功したが、参加者の多くが「やったぜ、俺たち歴史に名を残しちゃったよ」とか言ってさっさと自国に帰ってしまったものだから、宗教的熱狂に踊ることなく冷静さや責任感を持って現地に残った連中は大変なことに。聖地奪還の立役者たちが一人また一人と天に召されゆくのとは対象的に、それまでバラバラだったイスラム勢力には、新世代のリーダーが台頭。攻守は完全に入れ替わるのだった。 2019/04/01
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