講談社文庫 アフロディーテ

著者名：山田正紀【著】

講談社（2019/05発売）

• ISBN：9784061839335

内容説明

人間の英知を集めて完成した、人工の理想の海上楽園都市の島「アフロディーテ」に夢を託して移住した青年・蒔田雄一。彼を待つ試練とは何か？　美少女アニタをめぐる若者たちの熱い思い、権力者たちとの熾烈な闘い、雄大な陸海に展開するニュー・メカ群……。青年の夢とロマンを縦横に描く、傑作長編ＳＦ冒険譚。青春て何だ？　ハイテク都市に愛と理想を追う青年の物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[ホレイシア]

この本、読むタイミングは今がベストだと思う。あまりに時代の先を見通しすぎていて、単行本が出た1980年にはごく一部の読者を除いて理解されなかったのではなかろうか。一人の天才がつくりだした理想郷の繁栄と没落が描かれているが、まさに今の日本ではないか。問題は、人工島なら住民が出て行って廃墟になればいいが、国はそうはいかないというところだ。まじめに全員で国外逃亡を考えておいたほうがいい。甘ったれの「ロマンチスト」さんばかりがふえ続けている我が国、明るい未来は期待できない。

2010/07/03

[魔魔男爵]

正紀お得意の青春冒険SF。舞台は理想の海上都市国家アフロディーテだっ！ユートピアなど有り得ないと、わざとアフロディーテにスラムを建設する建国の父の理念が完璧。不完全なユートピアこそが理想だと言う捻った視点が良い。悪や穢れを許容するのが本物の理想ざんす。

2009/09/28

[クライスト]

かなり昔に読んで、清々しくも切ない感情になった本。記憶に残る一冊。

[カドリール]

山田さんの作品の中でずば抜けて好きでもないけど捨てられない一冊です。多分見たくない自分の中の感情？考え方？の一部を刺激されるからだと思います。たわいもなく楽しく読みながら、気付きたくない何かが隠れていてざわざわします。

[1977年から]

1981年