内容説明
殺された鈴木の祖父で、名家の当主義麿が綴ったノートを託された浅見は、事件の核心に迫る記述に引き込まれていく。戦時中の阿武山古墳盗掘疑惑、考古学者同士の対立、新たな殺人――。さらなる悲劇を招いたのは、「鎌足の秘宝」なのか? 内田康夫の筆を継ぐ新人が、誰も予想しなかった結末に読者を誘う!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
95
内田さんが絶筆で残した「狐道」をその後続きを公募してその最優秀賞になったのが和久井清水さんのこの続きです。新たな殺人が起こったりしますが、内田さんの書かれていたものと違和感なくスラスラ読めます。おじいさんのノートの中身もうまく書かれています。最後は浅見光彦がうまく解決しますがこれが最後のシリーズとなるのでしょうね。最初の頃からの内田さんの作品を読み直していこうかとも思います。2019/03/20
のり
74
内田先生の後を引き継ぎ完結させるには、大変な苦労と取材を重ねただろう。浅見光彦の個を継承しながら物語を創作するのは大変な勇気も必要だろう。藤原鎌足に関する古墳や秘宝をめぐり、考古学者の運命が大きく変革する。あまりにも多くの方が亡くなった、祟りや呪いが真しやかに囁かれる。孤道=孤独だったのだろう。義麿さんが秘めた想いが、悪意につけこまれたのは無念だったろう。2019/08/02
あつひめ
50
完結…どれだけの読者がこの作品を待っていたか。一番待ち望んでいたのは内田先生かもしれない。内田先生の孤道で散りばめられたものをうまく回収している。ミステリーとしてはとても完結していると思う。札幌生まれ、札幌在住の新たな作家さんが生まれたことに喜びを感じる。和久井さんならではのミステリーをこれから期待したいと思う。これからは新たな旅に出ることはなくなった浅見さん。たまには過去の作品の浅見さんに会いに行こう。2020/01/12
hnzwd
40
未完作品の結末を公募するっていう作品はいくつかありましたが、違和感なく読めたのは初めてかも知れません。作者は本作がデビュー作らしく、、浅見光彦シリーズの安定感のなせる技でしょうか。解決後の少し寂しい感じまで再現したのは見事でした。浅見光彦シリーズは書き始める時に結末を考えていない、というのは有名で、ある程度書いた後に内田先生が犯人を推理するというエクストリームな書き方をされているので、この着地は素晴らしいの一言しかないですねー2019/04/05
かな
34
被害者の祖父が残したノートを託された光彦、読み進めていくうちにノートの内容に魅了されていく。そんな中、新たな殺人事件が。そして核心に迫ったとき肝心のノートが数冊盗まれていることに気づく。過去と現代が交錯してゆくなか、光彦の推理がさえわたる。「孤道」完結編募集プロジェクトに、100編を超える応募があったなか選ばれた作品。ただ、登場人物が多く、この人誰と思い読み返したところが数か所あった。内田先生が書かれた「孤道」から違和感なく読めたのには、単純に凄いと思いました。2024/12/27




