内容説明
女は広島の山間から、男は四国の松山から、時を同じくして裸一貫の旅に出た。日露戦争を目前に控え近代日本は興隆の頂点をめざしていた。門司港の石炭荷役に携っていた二人の若者は、運命の糸に操られるように殺伐たる九州の港を流れるなかで結ばれ、転変の人生をともに歩みはじめる。玉井金五郎の侠気とマンの心意気、その底に通いあう細やかな愛情。著者天性の雄渾なロマンみなぎる名作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
リュウジ
7
★4U-NEXTで映画を見てこの小説を知った。高度経済成長期の東映映画のようなタイトル。でもやくざ者が主人公の小説ではない。急激に工業化し成長する明治の北九州が舞台。広島の山奥から出てきた女「マン」と松山から出てきた男「金五郎」が九州で出会い、石炭の荷役をしながら恋をして結ばれ、未成熟な社会のなかで荒っぽい連中を相手にしながら、やがては荷役の組を任されるほどの押し立てられていく。富める者と貧しき者。まっすぐに生きる者とずるく荒く生きる者。原作者は戦前に芥川賞を受賞している。下巻は話が左に寄っていくのかな。2021/11/08
みい⇔みさまる@この世の悪であれ
0
☆×4.5…任侠の世界に踏み入った男と女の物語。特に男の世界の深いのには一気に話に引き込まれます。そしてすごく印象に残ったのは人間関係の深さ、そして嫉妬という代物のなんと醜いこと。そのせいで金五郎もあらぬことを言われ、苦労することとなります。上巻なのでまだまだ彼らの人生の記録も始まったばかり。金五郎のこれから、そしてマンのこれから…楽しみであります。2012/04/18
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