内容説明
迷いを断ち切る鋼の回転翼。
人造の豊穣神・ユグドラシルによる文明絶頂期の中で、『大崩壊』は起きた。世界人口の半数以上が死に絶え、突如現れた樹獣・樹竜と呼ばれる異形の怪物たちによって人類は地上から追放されて、その拠点を人工の浮島・海上都市へと移した。
『大崩壊』から数十年。小型ヘリ<静かなる女王号>を操り、樹竜狩りを生業とするヤブサメとモズ。旧都市・新宿での作戦後、二人は女王号を修理するため伊勢湾海上都市へ向かい、その途中で『ヤドリギ』の弟を誘拐されたという少女・エナガと出会う。ヤブサメは東京湾での面識もあり、エナガの境遇を他人事とは思えず助けようとする。
しかし、感情的なヤブサメとは対照的に、モズはひどく冷静だった。
「厄介事に首を突っ込むなら、金になりそうなやつにしな。正義の味方がしたいなら、ほかをあたるんだね」
モズにそう拒絶されても、この事件が「意思疎通の出来るヤドリギの存在」に繋がるのではと焦り、ヤブサメはがむしゃらに行動するのだが……。
悩み、苦しみ、己に問い続ける。しかし、困難を切り拓くのはいつの時代だって人の意志だ。これは空を駆り、樹竜を狩る者たちの物語。鋼の翼と意志が試される第二幕。
※「ガ報」付き!
※特別カラーちらし「ゲキ推し!!ガガガラブコメ ラインアップ」付き
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まりも
33
ヤドリギの弟を攫われたエナガを助けるためにヤブサメとモズが空を駆るシリーズ第二弾。1巻がど迫力の空戦を楽しむ内容なら、2巻はヤドリギと社会の反応についてを描いた人間ドラマだろう。もちろん前回同様今回も血湧き肉躍るヘリの戦いは健在だが、そこに様々な感情を胸に抱きながらもヤドリギの弟を守りたいと言うエナガの想いと、それに応えようとするヤブサメとモズの姿が加わることで1巻以上に読み応えのある展開になっていた。ソロバンの男との因縁が出来たことで物語に更に厚みも出来たし、これは次巻も目が離せなさそうだ。2018/12/22
よっち
30
旧都市新宿での作戦後、女王号を修理するため伊勢湾海上都市へ向かい、ヤドリギの弟を誘拐されたという少女・エナガと出会ったヤブサメが、その少女に協力しようとする第二弾。他人事とは思えず助けようとするヤブサメと現実的で冷静なモズ、そしてエナガが密かに抱える悔恨。幼い子が抱えるには厳しいヤドリギに対する世間の反応があって、それでも向き合うことを決意し勇気を持って立ち上がろうとする彼女を助力する二人の心意気があって。今回も女王号を駆ってギリギリの熱いバトルが繰り広げられましたが、因縁の男を追って向かう大阪編も期待。2018/12/18
緋莢
17
女王号修理のため、伊勢湾海上都市へ向かうヤブサメとモズ。その途中で、海賊に襲われる貨客船と遭遇。その海賊たちは金目のものを何一つ取らず、空のコンテナのみを奪って退却。訝しく思うヤブサメは、東京で出会った少女・エナガと再会。コンテナにはエナガの弟を含む、ヤドリギとなった人々が多数いた、というのを知らされ…というのが、今巻のストーリー。「大崩壊」後に現れ、植物のようになってしまい、多くの人に忌み嫌われる〝ヤドリギ”。意思疎通が出来ず、それ故に、例え家族とはいえ、その存在を重荷に感じてしまう(続く 2019/04/02
真白優樹
15
伊勢湾海上都市で女王号を修理する中、ヤドリギの弟を誘拐された少女を助ける事になる今巻。―――例え全部は救えずとも、せめて自分の軒先だけは。 ツバメ達頼れる工房の面々や伊勢湾に集う関係者達も現れ、世界を広げる今巻。今巻はヤドリギとそれに伴う社会の反応に触れる巻であり、諦観と悲嘆から来る退廃へ、ヤブサメとモズが否と砲弾を叩きこむ、ヘリ同士の変態機動溢れる血がたぎるバトルが目白押しの巻である。貫き通す、そう決めて闇へ飛び込むも、闇はいまだ蟠る。果たして奇妙な竜の鎮座す大阪で待つものとは。 次巻も楽しみである。2018/12/19
すがはら
11
ヘリコプター愛が熱い。今回は空中戦少ないなと思ってたら、終盤で怒濤の畳み掛けが凄かった。樹竜の登場シーンは相変わらずカラーで見たい美しさと恐さがあったけれど、謎を残したまますぐに去ってしまい少し残念。ヤブサメ君はたくましい女性達に気に入られるけどちっともモテ感がないところが愉しい。苦労性なヤブサメ君、強く生きて下さい。棘のヘリのお兄さんとの因縁も続きそうだし、次も楽しみです。2019/01/24
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