河出文庫<br> ヌメロ・ゼロ

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河出文庫
ヌメロ・ゼロ

  • ISBN:9784309464831

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内容説明

隠蔽された真実の告発を目的に、創刊準備号(ヌメロ・ゼロ)の編集に取り組む記者たち。嘘と陰謀と歪んだ報道にまみれた現代社会をミステリ・タッチで描く、現代への警鐘の書。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

65
「決して出ることのない日刊紙の準備にかけた一年間を語る本」を書かないかと持ちかけられた語り手の4月から6月まで。真実を暴くという名目で発刊される予定のその新聞、業界の裏話を書くぞと脅せば関係者が手を回して便宜を図ってくれるはずとの出資者の意図によるもので、モデルはベルルスコーニ元首相。創刊準備号の編集会議はジャーナリズムの情報操作の暴露であり、エーコの痛烈な揶揄だ。ジャーナリズムの裏側を暴く一方で、一人の記者がムッソリーニに関するある陰謀を追い始めるのたが、この作品のもう一つのテーマ「記憶」。⇒2022/09/18

三柴ゆよし

30
あまり食指の動かないあらすじだな、と思っていたが、オモローな小説だった。世に出ることのないoneのためにzeroを創造する記者たちの営為が、そのまま歴史の闇に葬られた真実(という妄想あるいはパラノイア)へと導かれていくスリリングな展開は、舞台を現代に移しても、陰謀大好き作家エーコ先生の面目躍如だろう。語り手コロンナが、比喩と引用を通して世界を見る癖を持っているのに対して、物語の重要な担い手となる記者ブラッガドーチョ(braggadocio ⇒ 大ボラ吹き)は記号的事実の裏側に意味を見出していくタイプの人。2018/11/21

神太郎

29
ウンベルト・エーコは一度は読んでみたいと思っていたので短めの本書を手に取ったわけだが、遺作だったとは!全体的に会話調でとても読みやかったが、イタリア情勢には疎いので「なるほど、そんなことが」という事象がほとんどではあったが、陰謀論やマスコミというのはどの国もあまり大差はないのだなと思う。情報化社会になり、益々陰謀やら情報の取捨選択が難しくなっていく昨今において本作はそれを先取りで題材にしたなかなか面白い作品だった。2025/09/18

そふぃあ

28
報道の影の部分を暴く小説。風刺されてるのはイタリアのマスコミだけど、日本も同じことをやっている。受け手に歪曲した先入観をを刷り込ませるやり口を知っておけば、嘘に騙されずに済む。 あと、本書で語られる歴史部分は事実なので、イタリアの近現代を知ることもできた。 オットー・スコルツェニーは『鷲は舞い降りた』にも登場する。2019/01/24

まえぞう

25
7作あるエーコ最後の小説です。新しい新聞の予行演習という形で、戦後イタリアの様々な事件が陰謀として取り上げられていく。人間の記憶のいい加減さや報道の持つ危険性が指摘されていて、エーコにしては短くてややこしい神学論争も少ないので、取っつきやすいです。7作の中での自分の好みの順番をつければ、フーコーの振り子、バウドリーノ、薔薇の名前ですかね。2020/09/11

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