内容説明
薄切りにして煮た蛸を、炊き上がる直前の飯に混ぜ込んで、汁を掛ける。それに刻んだ大葉を散らせば、ほんのり桜色に染まった御飯の出来上がり。縄のれん〈福寿〉を営む美人女将のお園は、優しさ溢れる料理で訪れる人々の心を癒す――。恋に悩む者、過去に囚われる者、生に惑う者。彼らを救う魅惑の一品と一途な想い。人と人とを温かく包み込む江戸料理帖、開幕。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆのん
34
料理物の時代小説。「みおつくし」シリーズには敵わないが面白かった。なんとなく、時代小説になりきれていない感じがした。高田郁氏、和田はつ子氏などのベテランを読みつけてしまうと少々物足りないかもしれない。シリーズであと2冊あるので追々読んでいきたい。2017/09/28
たんぽぽ
31
丁寧にかかれていて好感が持てます。時代劇としてこなれていない気もしますが、今後の展開に期待ですね。2017/05/01
メルル
27
料理に関連した謎解きがあり、人情あり、切なさあり、美味しい料理あり、惚気あり(笑) 縄のれん福寿の女将お園と周囲の人々の物語。記憶喪失で店の前に行き倒れていた、お里の素性にどきどきしつつ、吉之進とはどんな感じになるのか気になる。とにかく簡単で美味しそうな料理がたくさん登場する。ほかの方も感想に書かれていたけれど、時代を考えるとちょっと不思議な料理が登場する。でも主婦としては作りやすいからまぁいいや(笑) 柿の旬が訪れた時、柿の白和えを作ろうと思う。覚えていればの話。2016/12/30
ううち
25
美味しそうな表紙絵だったので購入。縄のれんを営む26歳の女将が主人公ということで、比較されそうな作品もたくさんあるでしょうがこれはこれで。 人情ものですが、ちょっとした謎解きもあり、サラリと読みやすい。2018/02/03
Nazolove
19
いわゆる料理人系の小説を手に取ってしまうあたり、もはや職業病ではないかな、なんて思った。(今辞めてしまったけれど) 内容としては料理人が様々な事件に巻き込まれていくというかなりあるある設定ではあったが、楽しんで読ませていただいた。 時折入ってくるレシピやうんちくを入れてくるあたりは勉強にもなったし、料理としてどこかでやってみたいなという感じであった。 個人的にはもうちょっとラブコメ要素がどこかで入ってきたらこれはこれで面白いんじゃないかと思った。(空気上難しいけれど)2019/11/14