文春文庫<br> 裏の木戸はあいている 山本周五郎名品館II

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文春文庫
裏の木戸はあいている 山本周五郎名品館II

  • ISBN:9784167910716

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内容説明

没後50年、いまもなお読み継がれる巨匠の傑作短篇から、沢木耕太郎が選び抜いた名品。
山本周五郎の世界へ誘う格好の入門書であり、その作家的本質と高みを知ることができる傑作短篇集の第2弾!

生涯、膨大な数の短篇を遺した山本周五郎。 その大半がいまだに読み継がれ、多くの読者に愛され、また後進の作家たちに多大な影響を与え続けている。
市井に生きる庶民の哀歓、弱き者の意地、男と女の不思議など、特に時代小説に傑作が多く、その数も膨大なものがある。

山本周五郎作品に深く傾倒する沢木耕太郎氏が独自の視点と切り口で4巻36篇を選び、各巻の末尾に斬新かつ詳細な解説エッセイを執筆。
第2巻は「彼らを輝かせるもの」と題して、自らも尾崎四郎から「曲軒」とあだ名された周五郎の作品に登場する男女が貫く「意地」をキーワードに、その作品世界に迫る。

本書の収録作は以下の9篇。

「ちいさこべ」(大火の後、孤児を引き取り奮戦する大工とその娘)
「法師川八景」(あえて未婚の母の道を選んだ女)
「よじょう」(世間から宮本武蔵に敵討ちをすると誤解された男)
「榎物語」(将来を誓った男をひたすら待ち続ける女)
「裏の木戸はあいている」(貧民のための「救急箱」の存続が危うくなり……)
「こんち午の日」(嫁に逃げられても年老いた義父母の面倒を見る男)
「橋の下」(果し合いを前にした男に、ある「乞食」が語る話とは)
「ひとでなし」(やさしい男とならずものの間で女は……)
「若き日の摂津守」(生き残るために暗愚を装い続けた若殿)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

116
沢木さん選択による山本周五郎短篇作品集の第2弾めです。今回は人間の意地という側面に焦点を当てられての9つの作品が収められています。意地というとどちらかというとマイナス的なイメージが強いのですが、ここでは人間を成長させていくいい意味での使い方が多いように感じました。既読のものもいくつかあるのですが、「裏の木戸はあいている」という作品がいいと感じました。あと2冊が楽しみです。2018/06/25

佐々陽太朗(K.Tsubota)

82
「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」 有名な草枕の一節にもあるとおり、自分の信念や価値観にこだわりを持って生きていくと不自由だ。もっと軽やかな生き方があるし、そのほうが生きて行きやすいことは明らかなのにそれができない。意地というやつである。一般に意地をはるやつは人間が小さい。しかしたとえ死んでも意地をはり通すやつはアッパレである。本書にはそんな人間が織りなす物語九篇が収められている。2018/07/20

キムチ27

69
再読繰り返しても、常に新たな江戸期の情景が広がる・・そして人の裏の心の捉え方も。山周さん ほぼ秀作揃いともいえる内容ばかり。今回は「若き日の摂津守」を異なった視点で読め、面白かった。言うならバカ殿を演じる事により、自らの鎧とすべく育てられた人物。長ずる迄、周囲はそれを気づかず、嘲り良いように権勢を私物化して行く。今にも通じて居る様な昏い笑いが有る。子供の頃厳然と存して居た「文壇」今思えば、何と無意味な語か・・山周さんを愛してやまぬ読書人が厚い事を信じてい疑わない。文学に境界線なんて。。2022/10/28

kawa

43
味わい深い逸品のオンパレード。一気に読むのがもったいなくて3日かけてゆっくり読了。編者の沢木耕太郎氏によれば本書のテーマは「意地」だそうな、なるほどぉ。「若き日の摂津守」のラストの痛快さが本書の気持ちの良い締めになっていて秀逸。折に触れて手に取りたい短篇集だ。「こんち午の日」は再読。2021/05/08

ぶんこ

39
沢木さん選集の2巻目。最後まで読んでから解説を読むと「意地」がテーマだったとある。著者が直木賞辞退を含む生き様には「意地」があったとのこと。男の人の意地、女の人の意地と違いはあろうが、こだわる世界を持っている。「裏の木戸はあいている」は男の意地、「法師川八景」は女の意地でしょうか。心に残った作品でした。2019/03/23

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