内容説明
なぜ人は宗教を求めるのか? 現代において宗教は、目に見える形でも目に見えない形でも、大きな影響力をもっています。グローバル化が進み、様々な民族的背景をもつ人々の交流が進む中で、宗教の理解は必須であると言われています。また、国際的事件の背景や国際政治を理解する上でも宗教の知識が大変に重要になります。人類文化の「原点」を占めている宗教を、個人の内心の問題としての「信仰」からいったん離れて、文化的・社会的・思想的な「知識」として理解する――。それを行なうのが「宗教学」という学問です。種々の難問が山積する二十一世紀の世界において、宗教学の知見は大いに役立つでしょう。(本書の「はじめに」より) ○本書の目次より/回心体験と信仰/神と仏/日本人と宗教/信仰治療と奇跡/ユダヤ教/キリスト教/イスラム教/ヒンドゥー教/仏教/儒教と道教/神話/死後の世界/宗教と文学/世俗化と宗教復興/イスラム復興/よく知られた宗教学の用語/読書案内……シリーズ累計55万部突破!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
14
多くの宗教入門書で知られる著者が更にぼんくらな我等に向けてわかりやすく簡略化して宗教という現象の全体像を伝えてくれる、わかりやすさ特価の入門書。宗教学といっても細かい学問の話はほとんど最低限、個別の宗教や行為、社会風土に焦点を合わせた明日使える宗教学入門という感じ。宗教の本質の良し悪し、という考えにとらわれるのはよくなくて、結局の所宗教という大きな現象をどのレベルで考えるかが肝心なのだ、というようなハッとする問いかけもあって、あっさり読めるものの決してレベルは低くない印象を受けた。著者の本の中では特に平易2019/01/07
noko
5
宗教の本を読んでると、「宗教に帰依しているの?」と聞かれる事がある。いつも「学問として学んでるだけ」と答えてもあまり伝わらない事があった。次からはこの本にある「宗教は信じるもの。宗教学はその宗教を観察し比較するもの」と答えてみよう。信仰治療はできるのだろうか?一部の宗教団体がいう、奇跡の類が科学的に実証される可能性はゼロだと思う、奇跡はない。日本人は葬式に出費する。普段はお寺にお金を出さないが、法事と葬式に集約しているようだ。正月の参詣は宗教というより習慣。東アジアでは、宗教を複数同時に信仰するのは普通。2024/02/05
侘び寂び侘助
4
宗教の位置付け、意味、人との関わりを説明しているのでわかりやすい。日本に住んでいての実感が言語化されている。2020/11/22
もりー
3
本屋で見かけて購入。教養として、また、物事を考えるきっかけとして宗教について勉強したいと思っていたので、ちょうどよい出会いでした。 無宗教と言われる日本においても、葬式に象徴されるように儀礼という形で生活に宗教的な感覚が根付いている。 宗教とは無縁だと思っている人ほど、無意識に受け入れている信念について無知であり、宗教を通じて信念について考えている人ほど、その意味を問い続けている。含蓄のある文章だと思うとともに、宗教を短絡的に捉えずに、その距離感を常に意識し続けることが肝要なのだと思う。2023/06/03
ヒマワリ
3
最近仏教や宗教学に興味があると話すと友達に「大丈夫か」と心配された。そういう事なんだろうな。笑 宗教は教えを信じたり実践したりするもの。宗教学はそんな信者たちの信念や実践を客観的に眺め、宗教ごとの違いや共通点を見ていくもの。宗教を信じない日本人も生活のいたるたころに宗教的な考えや儀式がたくさんある。アニミズムは2、3歳頃から現れるし。これを読んで、私は死んだらどこへ行くのかとふと考えることが多くなった。暗い意味じゃなくて。とても勉強になった。2022/05/22