内容説明
1930年1月、日米英など五大海軍国によるロンドン海軍軍縮会議が始まろうとしている。随員を命じられた外務省情報部長・雑賀潤は、首席全権の若槻礼次郎らと日本を旅立った。だが、各国の利害が対立する外交交渉は難航の連続。その上、海軍軍令部は自らの主張に固執し、妥協案に対して拒絶の姿勢を崩さない。熾烈を極める状況の先に、雑賀は光明を見出せるか!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TATA
36
時代は大戦前夜の1930年。日本の行く末を案じ軍縮、国際協調へ舵を切らんとする浜口首相と幣原外相。ロンドン海軍軍縮会議での条約締結に向け若槻翁以下が英米政府代表と、そして国内では政府と海軍との激烈な交渉、駆け引きが展開する。やはりこの時代背景こそが最高の舞台装置だ。うーん、「その時、歴史は動いた」を彷彿とさせる臨場感。上巻で交渉妥結、さあ下巻では何が待つ?2018/09/05
トリプルアクセル
11
ロンドン海軍軍縮会議をテーマにした歴史小説。思いのほか読みやすくて一気読み。主人公はオリジナルの外交官だが、基本的には史実通りの登場人物が登場し、史実通りに話が進んでいく。それにも関わらず、私のように近現代史に詳しくない人間でも飽きさせない面白さだった。2018/11/05
keisuke
10
とても面白い、けど難しい。てっきり会議がメインになるんやと思ったら早々に始まって驚いた。下巻でまだ波乱があるのか。にしても海軍の悪役っぷりはすごい。司馬遼太郎が嫌った日本の軍人達だ。昭和初期って江戸時代生まれの人がまだいたりしたんだな、と改めて気づいて江戸時代の近さにも驚く。松平容保の息子はあんな人なのかと悲しくとなる。2018/04/12
ほうすう
8
1930年に行われたロンドン海軍軍縮会議をテーマに扱った小説。戦前期の昭和史を扱った小説は珍しい気がするし、濱口・幣原・若槻といった面々が活躍している小説もなかなかないのでは。彼らも実に魅力的に描かれている。そして、昭和の嫌な足の引っ張り合いというかどうにもならなさをよく描けていると思う。晩年の東郷さんは何ともねえ…。少々説明が多い気がするのと、上巻の時点ではわざわざオリジナルの外交官を出させる意味があまりなかったのではというのが残念。2018/08/13
ryohey_novels
4
ロンドン海軍軍縮会議の裏側。100年弱前の出来事にもかかわらず、非常にリアルで臨場感のある小説。普段読んでいるような戦争や政争がメインの小説とは異なり、大きな動きや命のやりとりはないが、国際会議が外交官の戦争とまさに言える程の命をかけた交渉の動きが面白い。2020/08/15
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