内容説明
オランダ留学で地球規模の思考法を身につけた、開明的な知識人、時代の先覚者、しかも徳川家家臣という意識が人一倍つよい武揚。そうした人間の割り切れなさも作者はきちんととらえている。武揚を通して浮かび上がる国家と個人、日本の政治の体質といった主題は、けっして過去のものではない。
――岩橋邦枝(第21回新田次郎文学賞選評より)
幕府艦隊は最新鋭の旗艦・開陽丸の艦長に榎本武揚を抜擢。海軍力で薩長軍を圧倒するも、朝敵とされた徳川慶喜は抗戦に徹しきれず、江戸城は無血開城する。武装解除を逃れた幕府陸軍は、奥羽越列藩同盟への合流を図る。一方、徳川家の海軍となった艦隊を率いる武揚は、幕臣の務めを全うせんと苦闘するが……。
著者畢生の歴史巨篇を全面改稿した決定版!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
てつ
43
戊辰戦争真っ只中、物語は佳境へ。2018/01/12
如水
36
本巻は武揚が開陽丸を操り帰国~戊辰戦争の舞台が東北へ…と言う所。一番の盛り上がりは徳川幕府終了過程。幕臣側から見た…と言う感じで『何故鳥羽伏見から上野戦争迄負け続けたか?』が主観的に見れます。特に勝海舟が理想とした『国家』が在らぬ方向へ行く様はまさに『策士、策に溺れる』『大ブーメラン』『おまいう?』状態🤣【結社の自由と直接デモクラシーを否定し、国民の移動を禁じ、信仰の自由さえ認めぬという、旧体制と変わらぬ国家】だった慶応~明治初期(雄藩の寡頭独裁政治)。共和制の道はまだ遠く…さて義理堅い武揚どうする?2021/07/30
rokubrain
22
オランダ留学から帰国すると、日本は”攘夷 対 開国”から次の国家政体のありようを巡って”薩長 対 幕府”という構図に変わっていた。対立する薩長と幕府の二つの勢力を軸に朝廷やイギリス、フランスの外国勢力を巻き込み、それぞれの思惑を抱きながら新生日本の姿を模索している。時代が何らかの新しい政体に向かって激しく胎動している。この巻では、幕府側からの視点がより描かれていたことで自分自身、勉強になった。武揚一流の 物事を身分ではなく衆議で決めていく姿勢は、欧州各国を見聞した経験が生きている。2024/08/25
Chikabono
13
勝海舟に加えて慶喜もダメ人間。ちょっと一方的見方かも?実際はどうだったのかな。2025/01/15
リュウジ
12
★4この巻は大政奉還、江戸無血開城、彰義隊敗戦まで。読んでいてずっとストレス。何事も煮え切らず敵前逃亡までしでかした大将の慶喜と権棒術数を弄し偽勅まで出した岩倉具視、策に溺れ結局は訳のわからん勝のせいだ。幕府が勝つチャンスは何度もあった。大義はない薩長なのに下手を打ってズルズルと正当化された。そして徳川武士の最後の意地を示す戦いに挑むのではなく、蝦夷を失業幕臣たちの生活の場にしようと考え始めた武揚、いうのが佐々木譲の解釈。事実はどうだったのか?同じ出来事を他の作家はどう描いたのか。そんなことが気になった。2022/02/06




