内容説明
歴史家萩原は、丸山真男らに並ぶ教養・学識の深さとともに叙述の美しさで定評がある。1は長らく品切れだった吉野作造賞受賞『馬場辰猪』。知識人の孤独、転向と亡命を描ききった著者会心の第一作。付録としてこれまで未収録の論考も。解説は宮村治雄。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
51
萩原さんの「遠い崖」が終わりそうになってきているので他の作品を探し出して読み始めています。福澤諭吉のいる慶応義塾で彼の薫陶を受けます。英国留学を経てかの地の思想に触れて帰国後自由民権運動にのめりこんでいきます。ここら辺は作者が自分の経験とかさね合わせている感じがします。萩原さんのこの作品で馬場のような人物に知れあいました。2015/06/16
マリーゴールド
5
馬場辰猪という特異な名前が記憶に刻まれたのは、色川大吉「明治精神史」の上巻を読んだとき。徳富蘇峰と自由党党首だった板垣退助の関係を書いた件で自由党の幹部の一人として馬場のことが触れられていた。正直、知名度では遙かに上だろう蘇峰・板垣には大して興味を持てなかったが、「真のいみでの近代思想を身につけた希有な人物の一人である」馬場という未知の人物には興味と魅力を感じた。因みに森銑三「偉人暦」での馬場評は「辰猪は学殖もあり、操守もあった民間の志士であった。ことにその雄弁は、当時の政客中に一頭地を抜いた。2018/10/09
R
1
馬場辰猪は自由民権運動の活動家。長期のイギリス留学を経て、政府に属さず、民間にあって自由民権運動に奔走し、板垣退助と対立し、アメリカに亡命して30代で亡くなった。近代の歴史において、政府の力がいかに強くあったか、その中で在野で過ごすことがいかに困難であったか。それでも在野で一本筋を通して生きた人がいた。その人生は思うに任せないものだったかもしれないけれど、そういった人がいたことが歴史に厚みを持たせてくれる。そのために生きたわけではないけれど。2024/10/20
毛竹齋染垂
1
馬場とはどういう男か。福沢の秘蔵っ子にして生粋の「叛骨」の持ち主、同郷の誼等という非合理な物に振り回されない真の合理主義・民権論者である。日本・中国のにおける「賢人」のような生き方を潔しとしなかった彼は遂に西洋で自らの主張と心中するに至る。ではその苛烈さの源泉如何。筆者は福沢・中江と比す事で一つの結論を出した。その妥当性は差し当たり問わないが、脇圭平『知識人と政治』辺りと組み合わせて読むと面白いかもしれない。2011/12/17
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