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内容説明
「日本語」があって、それを漢字・ひらがな・カタカナで「書く」ということと、「日本語」はなく、あるのは漢字語とひらがな語とカタカナ語、この混合物を「日本語」と呼んでいる、と考えることの違い、この飛躍はなかなか難しい。世界にも希な漢字仮名交じり文という表記法を有し、その下で文化を発展させてきた日本人の意識構造を変えることはできるのか。少なくとも、日本人がいかなる存在であるかを認識することはできるはず。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅん
6
九鬼、新渡戸、丸山など、様々な日本論のまとめになっていて助かる。国学派と漢学派に日本論は大きく分かれるが、ひらがな(国学)と漢字(漢学)、加えてカタカナ(蘭学)を往復していくのが日本語であり、字の種別が複数あるのであって単一の「日本語」は存在しないというのが著者の大まかな主張。そうした日本語、および日本の構造が一つの絵のなかで表現されているという本著の仕掛けはなかなか楽しい。2021/07/20
良さん
1
筆触を論ずる書家である筆者が、その文字と言語の深い洞察の中から見出した真の日本文化論。 【心に残った言葉】「漢詩、漢文の漢字語と和歌、和文のひらがな語と、これに加えて自立した詩や文をもたないことからあくまで不十分ながらカタカナ語、この三つの言語の混合体を日本語とよんでいるにすぎない」と文字と言語の関係を逆転させたときに、はじめて、日本論、日本人論、日本文化論はあからさまに姿をあらわします。(159頁)2017/11/29