内容説明
夫・三浦朱門はある日、崩れるように倒れた。私は日々刻々と夫の精神活動が衰えるのを感じた。その時から、覚悟を決めたのである――。作家・曽野綾子が80代なかばにして直面した、90歳になる夫の在宅介護。「介護とは」「看取りとは」そして「老いとは何か」を自問自答する日々が始まった。すべての日本人に知ってほしい、夫婦の愛のかたち。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
117
曽野綾子、あっぱれ!の感じで読んだ。こういう家族も、こういう夫婦もあるのだと。夫の為に自分で選んだという言動がいっそ清々しい。誰しもこの方の様には行くまいが、一人の人間としての覚悟は伝わる。根底に信仰があるからだろうか?『私はいい介護人にはなれないだろうが、最後まで誰かを捨てることはできないだろう、とも思う。』私はどうだろうー2017/11/01
モルク
76
63年連れ添った夫三浦朱門氏の介護そして看取りが語られる。それ以前に夫のご両親ご自身の母親の3人を見送り、夫婦で終末医療について語り合っていたということである。最期までユーモアあふれる三浦氏と軽口を言いながらも、そこには夫婦の深い愛を感じる。毒舌のたたきあいが介護という厳しい現実を、少し陽の当たるものにしていたんだと思う。私たちも夫婦も今後歩んでいくのはふたり、子供はあてにせず終末について話し合っていこう。それにしても、素敵なご夫婦だった。2018/03/26
ゆみねこ
72
夫が借りてきた本をついでに読了。この先年老いてゆく私にとって参考になることばかり。やはり元気なときに人生の最期をどう迎えるかを話し合っておくことが大切だと思いました。実家の母は父を亡くして一人で暮らしているけれど、逆だったら父に一人暮らしは無理だっただろうなと思いました。2017/12/24
あつひめ
68
そう遠くない日のために読んだ。夫に限らず家族を見送る時、どのようにしてるのかと…。見出しを一つずつ読み、私なら…と考えてみた。老人と暮らすルールとは…とか。日々老いの変化を見せ始める相手に平静を保って向き合えるだろうか…とか考えることばかりだ。私自身は延命は望まない。でも、家族はどうだかはわからない。どうしたいかを話し合っておくことも必要な気がする。介護は気持ちと体力の勝負でもある。曽野さんの飾らない語り口での書き方がこれから見送らなければならない読者を安心させてくれてる気がした。2018/09/29
みえ
60
うちはまだまだ旦那には元気でいてもらわないといけないと思ってるけど、義理の父の様子を見てて、自分は年老いたらこういうふうにしたいな~とかは、漠然と思っている。あまり検査、予防接種とかにとらわれたないで生きたいとか(義理の父は薬漬けで病院好きみたいな感じの人) 寝たきりで流動食になったときは延命治療はやめたいとか。それでも生きてて欲しいと思う家族がいるならそれで結構だが、老後のそういった話をふだんから家族と話し合っておくことも大事だな。 曽野さんの本は考えさせられるものがあった。2019/05/20