内容説明
歴史上の国家を“企業”、その活動を“ビジネス”として理解すれば、新たな視点が得られる。ローマ帝国の盛衰、大航海時代の競争、さらに現代のAT&T、グーグル、人工知能についても。人類が経験してきた「成功」と「失敗」から導き出される「歴史法則」とは? 日本社会の停滞を打破する「フロンティア」がここにある。 ※新潮選書に掲載の図版の一部は、電子版には収録しておりません。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
38
古代ローマ帝国、海洋国家、情報革命。世界史を大きく動かしたものを分析した本著。ローマ帝国は塩野七生のパクリが多いものの、アメリカは意識的に古代ローマを模倣した、EUはローマ帝国に広がりは重なるが巨大官僚組織である点が分権のローマとは大違いなど首肯する指摘も。ポルトガル、スペイン、英国と継承された海洋国家の現代版は米国で、日本は全く海洋国家になり得ていないとの主張も興味深い。現代の歴史の主役は国家ではなく企業というのも理解できます。かつて国と企業の区別はなかったといい、昔に戻ろうとしているのかもしれません。2017/12/06
あちゃくん
37
自分のやりたいことをこの本に書かれていたことに即して言えば、ITやDXの分野といったフロンティアで、ゴールドラッシュ時のサム・ブラナンみたいな働きをしたいってことなんだなと再認識しました。2023/01/19
ネコ虎
16
ローマ衰亡史の中にグローバリズム礼讃の要素を見つけて囃しているだけ。移民を促進しなければ日本はやっていけないとするが、移民の負の問題点には全く言及しない。ローマ史解説はそれなりに面白かったが、そこから得る教訓は恣意的に過ぎる。というより自説を主張するための根拠を安易に歴史に求めたかのよう。その主張に新味がなく、読み手に緊張感を感じさせない。韓国の若者が海外に出て活躍していることを褒めるが全くナンセンス。なぜそうするのか説明しないのは学者として誠実さを疑う。比較生産費説の解説も安易。読み手をバカにしている。2017/10/10
trazom
12
「ビジネスモデル」という切り口で歴史を検証する非常に面白い本である。表面的な史実を辿るだけではなく、その裏にあるビジネスモデルが、成功するか否かの鍵になっているということが示される。アウグストゥスがローマのビジネスモデルを「領土の拡大」から「通商の拡大」に転換したこと、イギリスが「自由な海洋国家」というビジネスモデルを明確にして覇権を獲得したのに対し、日本は開国後の戦略がなく「大陸国家」を指向して失敗したこと、サービスを有料化することに知恵を絞りつくしたグーグルなど、非常に示唆に富む事例に満ちている。2017/07/04
中島直人
12
あまりに全てをビジネス、というかお金の問題に収斂させ過ぎではと感じたが、読みやすく面白いためページ数の割に楽に読める。2017/07/26