内容説明
ヨハン・ゴットフリート・ヘルダー(1744-1803年)が残した歴史的名著(1772年)、待望の新訳。一世を風靡した「言語神授説」に抗い、言語は神が創造したのではなく、人間がみずからの力で作り出したことを証明するべく格闘した、生々しいドキュメント。ヘルダー自身による手稿最終稿に基づいた初の日本語訳を、やはり初めてとなる文庫版で送る、まさしく決定版の名にふさわしい1冊がついに登場!
目次
第一部 人間は、その自然能力に委ねられて、みずから言語を発明することができたか?
第一章
第二章
第三章
第二部 人間は自然な能力に委ねられてみずから言語を発明せざるをえなかったのか? または どのような状況において最も適切にそこに至ることができたのか?
第一自然法則
第二自然法則
第三自然法則
第四自然法則
訳 注
訳者解説
訳者あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
46
【ゲーテの時代6】ゲーテが青年時代に最も影響を受けた人物、いやゲーテをあのゲーテにあらしめた最初にして最大の人物がヘルダーであったことは、自伝にも伝記にも一致して語られている。それが大学で教わった教授でも学友でもなく、5歳年上の当時新進の評論家だったことが面白い。ゲーテ21歳の時、下宿していたシュトラースブルクの街を訪れていたヘルダーに偶然出会う。「私にとってきわめて重要な結果をもたらすことになった、まことに意味深い出事」(詩と真実第二巻p307)だったという。自伝では、かなり後になるがヘルダーとは決別↓2020/12/07
松本直哉
23
ルソーとの違いは第一に、ルソーが言語の起源を欲求と情念と考えたのに対して、理性(思慮深さ)にその起源を求めたこと、第二に、時代を経て文法が整うにつれて言語が原初の生命力を失い堕落すると考えたルソーに対して、伝承によって言語はますます洗練されてゆくと考えたこと。理性をもつ人間が、時代の経過にともなって洗練し進歩するという楽観的な人間中心主義は、たとえば同時代のハイドンの「天地創造」にも共通する Zeitgeist と言えようか。逆に、ルソーの思想がいかに過激で前衛的だったか、比べて読むとわかるような気がする2022/04/15
吟遊
14
いくつもある校正原稿を丹念に調べて成った翻訳。!マークの多用なども読みやすい(原典の声が聴こえる)。言語は神ではなく、人間が作ったものという趣旨。レトリカルな文章。2018/03/13
嫁宮 悠
4
人間の本質は言語なのだろうか。言語は神からそのまま与えられたものではなく、区別・伝達の手段から人間が生み出し、洗練させてきたものだ。動物は生まれながらに完全であるが、人間は不完全な存在であるため、魂の感覚器官である言語を用いて完全に近づいていく、という内容。人間は日々進歩していくものだ、という考え方が好きだ。「伝授と教育の絆が人間にとって本質的なものになった142」。アフリカやアメリカの原住民、中国の言語について触れていたりと、広い視野による、意外にも近代的な本だった。2018/08/11
有智 麻耶
1
言語の起源を神に求める説と、人間の言語を動物の言語と連続的にとらえる説への批判を軸に、人間の本性としての「思慮深さ」(Besonnenheit/reflection)と、それを発揮することによる言語の発明について考察した論文。混沌とした世界に目印(Merkmarl)を見つけ出し、それを分節化(articulation)することで言語が発明された、という主張は、言語の起源の説明としては不十分な気がするが、言語の機能の説明としては適切であると思う。テイラーとの関係を軸に再読したい。2018/08/26
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