出版社内容情報
飛びぬけて自死の多い国、日本。生命保険の取り決め、向精神薬の薬害、ギャンブル依存症、貧困……問題の根はどこにあるのか?日本は先進国のなかで、飛びぬけて自死の多い国である。それは、なぜなのだろうか。学校で、職場で、家庭で、人を死にまで追い込むのは、どのような状況、心理によるのだろうか。また遺族は、親しい人の死をどのように受け入れていくのか。借りていた部屋の損害賠償の問題や生命保険の取り決め。向精神薬の薬害、貧困、ギャンブル依存症など、複雑に絡み合う自死の人の問題点を読み解き、自死をした人の家族会、医師、弁護士、宗教家など、問題にかかわっている多くの人びとを取材しながら、実態を明らかにする。
序 「自死」にこだわる理由
第一章 学校と自死
第二章 職場と自死
第三章 宗教と自死
第四章 精神医療と自死
第五章 責任と自死
第六章 高齢者と自死
「あとがき」にかえて
瀬川正仁[セガワマサヒト]
ノンフィクションライター。1978年、早稲田大学第一文学部卒業。80年代より映像作家として、アジア文化、マイノリティ、教育問題などを中心にドキュメンタリーや報道番組をつくってきた。それらの経験をもとに、さまざまなジャンルのノンフィクションを手がけている。日本ペンクラブ会員。
著書に、『老いて男はアジアをめざす』『若者たち―夜間定時制高校から視えるニッポン』『集める人びと』(バジリコ)、『アジアの辺境に学ぶ幸福の質』(亜紀書房)、『教育の豊かさ 学校のチカラ』(岩波書店)など。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スパシーバ@日日是決戦
89
{2016年} 2008年をピークに日本の自死者数は減少傾向にあり、2015年は2万5千人。しかし、毎年17万人ほどが「異常死」をとげており、「病死」「事故死」と判明した分を除いた中にかなりの自死者が含まれているのは疑いがない。いじめ、過労自死、向精神薬の過剰投与による薬害、高齢者の貧困など。たとえ追い詰められた果てに選んだ道だとしても、多くの人は「自死」に対する差別や偏見があり、「何も死ななくても良かったのに」「周りの人への迷惑を考えなかったのだろうか」と捉えがちだが..。遺族の哀しみも計り知れない。2016/10/09
kinkin
86
日本は先進国のなかでも飛び抜けて自死が多いそうだ。毎年2万5千人くらいの人が亡くなっている。小さな町や市が無くなっていると同じだ。この本は安全で豊かなはずの日本でなぜ多くの人が、私たちの社会のどこに問題があるのかが書かれている。学校、職場、宗教、精神医療、責任、高齢化の自死との関連性について読むことが出来た。なぜ?という言葉が自死を遂げた人に向けるものだけではない。数字だけでなくなぜ自死が減らないかを考えていきたい。宗教と自死については難しくて途中で止めた。図書館本2017/12/07
fwhd8325
30
自死という表現は、自殺よりも尊厳が込められているように感じます。ただ、だからといって、この現状を見過ごすことはできない想いです。自らも考えたことがあるだけに、決して他人事とは思えません。以前、永六輔さんも言っていましたが、「死ぬことにはエネルギーがいる」と。まさかと思う人の自死。自死を軽んじてしまう社会。次子を大量に産んでいるかもしれない「しくみ」。この国は何か大きな迷路にはまっているように感じる。2016/06/22
ロア
24
「第4章 精神医療と自死 」は多くの人に知って欲しい内容だと思った。「向精神薬をめぐる闇 」「多剤、大量処方という問題」クスリ飲用のつぶやきを時々見かけるけど、長期服用すればするほど量も増えてゆくし、やめられなくなるよ。通院に至った根本的な問題の解決にも目を向けて欲しいです。2017/11/02
たか
19
自殺大国日本。一度は死を考えたことがあるので、気持ちはわかる。絶望感が自死を助長する。希望を見いだすことがとても大切。2016/12/09