内容説明
メキシコ・オアハカのゴミ捨て場育ちの作家が、雪のNYからマニラへと、古い約束を果たす旅に出た。いつしかそれが過去への旅に。娼婦にして教会の掃除婦だった母。サーカスのライオンに殺された妹。宣教師とトランスヴェスタイトの愛情深い養父母。怪しい美人母娘を道連れに、作家の感傷旅行はどこへ向かうのか。上巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
153
フワン・ディエゴというメキシコ育ちでアメリカに住み障害をもち心臓に持病を抱える男がフィリピンに行こうとしているところから話が始まる。昔のアメリカ人の知り合いのために。フワンがメキシコのゴミ捨て場にいた頃と、現在が交錯する。最初は凄くキレものに思えたのに、徐々に凡庸に思えてくる。話は決して読みやすくない。アーヴィングだから読み続けてる。そして、『ホテル・ニューハンプシャー』でフラニーを酷い目に合わせていたから、今も読んでいて心配になる。今度はどんな非情なことを見せられるかと。根底にはカトリック批判だろうか。2017/11/30
starbro
144
ジョン・アーヴィングは、新作中心に読んでいる作家です。久々の新作、まずは上巻400P超一気読みしました。装幀も素敵です。本作品は、ジョン・アーヴィング版聖(性)書かも知れません。続いて下巻へ。トータルの感想は下巻読了後に。2017/09/12
NAO
81
メキシコのゴミ溜めの小屋で育ち独学で勉強したフワン・ディエゴがいかにして作家となったか。54歳となった彼がかつての友人との約束を守るために出掛けたフィリピンへの旅と、その途上で断続的に見た過去の夢の二つの世界が混然と錯綜しながら描かれる。『サイダーハウス・ルール』『サーカスの息子』『オウエンのために祈りを』などアーヴィングの代表作のいくつかが次々と思い浮かぶ中、いつもながらのアーヴィング独特の世界にどっぷりと浸りこむ。2019/06/28
キムチ
51
アーヴィングは「サイダー・・」で初めて触れた作家。作品は未知。が、読み始めるとすぐにその世界に引き込まれて行った。3人称は正直 慣れなく 混乱したと言えなくもないが。ゴミ捨て場から独学で言葉を手に入れ、妹とのみ通じる心の世界を持つダンプキッド、米孤児院出身の教師やら綱渡りの少女やら登場人物の坩堝状態。一方 同時進行でマニラへ旅する(ベータ遮断薬とバイアグラ持参で)現役作家。ダブル視点が撚り合され 読み手には不可思議な空間。どの人々もか弱く、惨禍が連続・・が生きている。2017/10/14
ヘラジカ
41
久々のアーヴィングを堪能している。舌鼓を打っていると言っても良いかもしれない。過去と現在を行き来する物語を流麗に紡いでいく様は、ポンポンと手品を披露するマジシャンのように華麗で目を眩ませる。やはり没入感を得られる作家という点では最高位に位置する語り手だ。全編ハイライト並みの面白さ。それと悲喜劇の巨匠とは良く言ったもので、心楽しいエピソードばかりで顔を綻ばせながら読んでいるとき、ラブラドールレトリバーの下りで冷や水をぶっかけられた。レトリバー関連のこういう話はやめて欲しい…切実に。(2017・51)2017/07/30
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