内容説明
御小普請世話役の吉村治兵衛が匕首で滅多刺しにされた。その凄惨な手口は“犬目”と呼ばれる伝説の殺し人の仕業か? 盗賊“白烏の伝蔵”一味も跋扈し、奉行所内が騒然とするなか、高積見廻り同心の滝村与兵衛に探索の命が下った。御家人たちに町方の手出しを拒まれながらも、腹心の手下と持ち前の勘で探り当てた吉村に因縁のある人物とは?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やま
68
小絲派一刀流の遣い手で、南町奉行所高積見廻り同心である滝村与兵衛の活躍の物語です。与兵衛は、高積見廻り同心であるが、探索能力が優れているために、奉行所の年番方与力から定廻り同心が難渋する探索に振り当てられます。凄腕の殺し屋「犬目」は、確実に依頼された殺しをやり遂げます。奉行所では全く探すことが出来ませんでした。与兵衛は、無役の御家人や小禄の旗本の者達の就職の世話をする小普請組支配の下役で、悪辣な御小普請世話役の吉村治兵衛が何者かに殺された手口が犬目に似ている事から探索を始めます。→2022/11/03
Kira
7
シリーズ第二弾。百まなこ事件で活躍はしたが定廻り同心への昇進を辞退した与兵衛は、またしても定廻りの助太刀を命じられる。犬目という伝説の殺し人の手口に似た殺しが続いているが、誰もその正体を見たことがない。手がかりのほとんどないところから、与兵衛は犬目捕縛の探索を始める。犬目の正体に迫るあたりはミステリとして面白いのだが、与兵衛が真面目すぎて、ちょっと面白みに欠ける。真面目が悪いとは言わないが、個性の強すぎるメンバーが揃った「戻り舟同心」シリーズに比べると、いまひとつという感じがする。2020/08/21
文句有蔵
5
よかった。犬目に情が移っていたし、それを捕えることになれば与兵衛の真っ直ぐで純な心が哀れだと思っていたので、この最期はある意味とてもよかったと思う。与兵衛の為にも、そして与兵衛に心を許した犬目自身の為にも。……願わくば。どうか白烏がおふじでありませんように。……長谷川卓にハマったのはセンスのいいウィットとユーモアに惹かれたからだが、本シリーズにはそれがないようだ。しかしこういう長谷川卓もいいな。とはいえこの作風は池波正太郎大先生を偲ばせる。が、結局はそれが王道でもあるのだろう。名作である。2015/05/12
ひさか
4
2巻め。今回も前回の「百まなこ」も、目に関連したタイトルですが、どちらも犯人の通称で特に関係はありません。関係あるかと思ってました。前回と同様、犯人捕縛までの地道で硬派なお話です。お終いの辺りで、都合よく運びすぎる感じもしましたが、解決に至るお話は痛快で面白かったです。定廻りに抜擢されるのは必至なので、続きは無いのかもしれません。タイトルが変わっちゃいますよね。2013/07/25
めにい
3
特に彼が何かしたわけではなく、偶然見かけるだけ、知りあうだけで解決してしまうって、都合がよすぎる気がする。引き技の剣についてももう少し何かあるといいのだけれど?2014/07/07