- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
日本の憲法学では「国民が権力を制限することが立憲主義だ」とされ、「抵抗」を英雄視する物語が延々と語られている。あたかも憲法9条が国際法をも超越した存在であるかのようなロマン主義を流布しつつ、自衛隊や日米安保を否定し、安全保障問題を語ってはいけない裏事情であるかのように扱ってきた。なぜこのような憲法学がまかり通るようになったのか。その歴史的経緯を解明し、日本が国際社会の一員として国際協調主義を採り、真に立憲主義国家になるための道筋を問い直す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てつ
60
まずは、現在の憲法学の通説である芦部憲法学に真っ向から喧嘩を売った筆者に敬意を表します。しかしながら、論述をながむるに、生物学から量子力学を批判しているかの印象を受けます。これをもって題名にある「ほんとうの」と言えるかははなはだ疑問です。私ごときでも個々に反論できるところもあり、読んでて独善性に嫌気すら感じました。2017/07/16
みき
41
日本憲法学の通説たる東大憲法学をほどよく痛烈に批判した本。言っていることは分かる、一部通説がロマン主義なのも分かる。一般社会と乖離した解釈が行われているのも分かる。しかし既存の日本国憲法を無効として考えた場合に無効のうちに行われた各種の行為は有効たりえるのか、有効にするための理論は何なのか、無効とした場合どうなるのかということを明示できないかぎり著者の主張は通説はたりえないと思う。ただ9条とかの考え方は通説より優れていると思う。やはり憲法学はアツい。2022/08/30
ころこ
39
戦前は国際規範を逸脱して侵略戦争を行い、戦後は国際法を無視して憲法解釈を行ってきたというのが本書の議論だ。その原因は、フランス革命で生まれ、その後にドイツ国法学となった国民主権論にある。これと人民と政府の間に結ばれる信託関係を強調する英米法という2種類の解釈が登場する。これが本書の難しさであり、読者の混乱を引き起こす。浩瀚「立憲主義とは国民が権力者の権力を制限すること」といわれているのを「抵抗の憲法学」と批判する。問題は、近代的で民主的とは正反対の中世神学のように憲法学者の「知の独占」になっていることだ。2023/07/30
Koning
31
日本の憲法学の歩となぜこんなスットコドッコイなことになってる?というのを大陸法の解釈で英米法を読む愚と紹介した新書。実際前文と9条を素直に読むとPKOにはもっと行ってなきゃならんってなるし、と思っちゃったりする人は一読するといいんじゃないかな2019/07/28
樋口佳之
22
集団安全保障と集団的自衛権はまるで重ならないと理解していたのだけど。集団的自衛権は国連憲章から削除されるべしと考えている。自分の中では違憲合憲以前の判断。著者が発動された事例に触れてないのはいただけない気持ち。憲法論については歴史的文脈で語っているのだから。2018/05/27