内容説明
西郷らの努力が実り、薩長連合が成立。混迷を極める時局を収拾するには武力解決――討幕より方法はないという気運が高まっていた。新たな時代の幕開けのために、西郷が奔る!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おにく
24
史実に基づいた歴史モノは、文書等に書かれていない空白部分をどう描くか?それは各々の書き手に委ねられますが、あまりにフィクションが幅を利かせると、私の場合、それが史実でないと分かった時に興ざめしてしまうことも。この本の作者は、残された文書類から導き出された考察を大胆に披露する反面、書かれていない事柄はハッキリと「資料が無いので分からない。」と言い切るのが新鮮です。大政奉還など重大事件をあっさりと描いている分、政治的なやり取りが際立ち、西郷・大久保の二人がこの後、不仲になると思えないほど良い関係にあります。 2018/02/06
フミ
19
大量の文書、手紙の現代語訳を載せるなど「薩摩の幕末維新」を浮き彫りにしていく伝記、3巻目です。この巻も、兵庫開港を迫る4か国の談判(慶応元年)から始まり、第2次長州征伐~鳥羽伏見の直後まで、密度たっぷりに詰め込まれています。特に慶応3年の「薩摩の倒幕準備」辺りは、内部に倒幕反対派が居たなど、知らなかったことを沢山、教えて貰えました。ただ「江戸の薩摩藩邸」の辺りは「西郷の指示ではない!」と、感情的になっておられたようで「好きだから無罪」を前面に出すと、伝記としての価値が落ちるのだけどな…とイライラしました。2025/04/09
スミノフ
14
西郷さんの東奔西走は続く・・ ものの、第2巻までと比べると、西郷さん置き去りで出来事の羅列に重きが置かれ、 歴史の教科書を読んでいるような感覚を覚えました。 それはそれで勉強にはなるのですが、西郷さんがそのとき何を考え、どういう気持ちで動いたのかを知りたいな〜と思いました。2022/08/10
kouichi
13
資料をふんだんに使って、当時の事実に肉薄しようとする姿勢にある意味凄みを感じます。フランスやイギリスも絡む当時の混乱した複雑な状況がよく伝わってきます。ここから西南戦争まで、西郷がなぜ自害するに至ってしまったのか、第4巻を興味深く読みたいと思います。2018/06/12
BIN
10
薩長同盟前から江戸城無血開城前まで。今までにもまして史料を丹念に精査し書いてるのが窺える(というか文書の引用?が多い)。ここまで詳細な流れは初めてなので大変勉強になります。ただこれだけ読んでると薩摩勢だけで長州は何もしてないように思えてくる。それにしても徳川慶喜はよくわからない人物だなあ。2018/04/27