NHK出版新書<br> 「正義」がゆがめられる時代

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NHK出版新書
「正義」がゆがめられる時代

  • 著者名:片田珠美
  • 価格 ¥814(本体¥740)
  • NHK出版(2017/07発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784140885161

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内容説明

弱い立場にある人を意図的に傷つける人々がいる。彼らは行き過ぎた“正義”を振りかざして暴走し、後悔も反省もしない。攻撃の矛先は店員、透析患者、生活保護受給者、そして障害者にも及んだ。なぜこうなるのか? 鋭い洞察と確かな分析眼で定評ある精神科医が、現代社会を象徴する「怒り」「コスパ」「“普通”からの脱落」に着目し、ゆがんだ“正義”が流行る理由を解き明かす!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

すーさん

34
普通の人がある日、犯罪を犯す。あろうことか、それについて加害者は正しいことをしたと思っている。歪められた正義について考えさせられる。 社会的弱者を傷つけ、陥れた加害者は自分を正当化することが多い。いくつかの例を取り上げて、評価する声が多いことに筆者は疑問を呈する。なぜ、自分を正当化しなければいけないのか。その理由を社会的背景や考えられる事情から読み取り、考察されている。 コスパ至上主義で努力を嫌ってしまう学生の考察も面白い。すぐに結果が出ることを求めてしまうと、将来役に立つかもしれない勉強はしなくなる。2019/05/05

to boy

28
相模原での障碍者施設大量殺人事件を事例に「正義を語る」とはどういうことかについて論じています。話が少し拡散してしまって期待したものと違いました。若者が学校というサービスを受ける立場から会社というサービスを提供する立場に移行する時の戸惑い、消費者が支払った対価として受けるサービスへの性急な要求などはなるほどと思いました。いろいろと問題を語っていますが、解決への道筋についての記述が無いのが残念。2017/10/22

とよぽん

26
片田珠美さんの著書2冊目。文章が明快でよく分かる。大量殺人犯が、いかに追い詰められ、喪失と絶望に見舞われてきたかという背景を探り、決して異常な人だったからではないことを説いている。あのヒトラーも。そして、現代の日本が孤立や貧困、不安感を「躁的防衛」で解消しようとする危険な精神状態にあるということ。そこに使われるのがもっともらしい「正義」の隠れ蓑なのだ。声高に正義を振りかざして誰かを攻撃しようとする・・・そんな人には十分注気を付けなければならない。2018/05/03

テツ

23
不安定な精神状態。現実の惨めな自分とはあまりにも乖離した理想の自分。そうしたモヤモヤを覆い尽くすほど『歪んだ正義』は強い。不満と怒りを自分のコンプレックス由来の感情だと受け入れることの出来ない弱さが薄っぺらい正義の御旗を振り翳す理由となる。その大義名分があれば自らのストレス発散のために他者を攻撃する罪悪感が薄まるから、弱者ほど正義を掲げる。自分を正義だと考えて行動する間際にこうしたことを一瞬でも考える強さを忘れずにいたい。2018/06/26

rico

19
未来への漠然とした希望。色々あっても何とかなるという安心感。一種の「共同幻想」なんだけど、以前は確かに多くの人が持っていて世の中を支えていたそんな土台が、いつの間にか消えてしまった。気がつけば、いったんコースを外れてしまうと容易には復活できない社会に。誰もが敗者になり得るから、「自分は敗者ではない」ことを確認するために正義をかかげ誰かをたたく。ネットがそれをあおる。精神科医である著者の解説は明解だ。だからこそ救いがない。問題の所在は明らかなのにブレーキが利かない。どこまで行ってしまうのか。2017/08/19

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