内容説明
タイトルどおりの「泣き虫」孔明。圧巻の「泣き」をご堪能あれ!
赤壁の戦いで魏軍に大勝した劉備玄徳は、その後湖南四郡に進出、
そして天下の奇人で「鳳雛(ほうすう)」と呼ばれた?統(ほうとう)を召し抱えた。
しかしその?統は?城包囲中に流れ矢に当たって死んでしまい、劉備をひどく嘆き悲しませる。
その後、劉備の義兄弟・関羽も呉軍との戦いの中に死に、あろうことかもう一人の義兄弟・張飛までもこの世を去る……。
不世出の天才・諸葛孔明を描き、独特の解釈で「三国志」の新しい地平を切り開いた『泣き虫弱虫諸葛孔明』。
第四弾となる本作は、関羽、張飛、曹操、劉備などの大立者が次々にこの世を去る大激動の巻。
劉備の死に際して蜀の今後を託された孔明は、いったい何を思う?
解説:杜康 潤(「孔明のヨメ。」)
【目次】
「泣き虫弱虫諸葛孔明 第四部」
〝鳳雛〟劉備軍に入団す
曹操、馬超と血戦し、
劉備、使者を手なずける
法正、使者となり益州略取を説き、
劉皇叔、望蜀を想う
劉皇叔、只管(ひたす)らに宴を愉しみ、
趙子竜、江を截(さえぎ)りて阿斗を奪う
?士元、落鳳坡に散る
閑雲長、単刀赴会してやりこめられる
劉皇叔、定軍山に勝つ
閑雲長、敗れたり、曹孟徳、ついに逝く
劉玄徳、帝となり、
呉に讐(あだ)うちせんとす
劉玄徳、白帝城に崩れ、孔明、おおいに泣く
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mzo
13
「抱腹絶倒の三国志」から普通の「面白い三国志」になった感はあるな。それでも、夷陵の戦いを最も三国志らしいと書き、「君自ら取る可し」の名言の読み解き方を示す辺りは、流石の酒見三国志であると思う。一方、史官採用についてのコメントなんかは、別の意味で流石の酒見三国志。お前が言うな、と読者の大半が思うに違いない(笑)2020/11/30
ほうすう
13
関羽や曹操、劉備といった主要人物が一挙に退場してしまいもの悲しさが漂う第四部。 印象的なのは劉備が東征を行う場面。この場面を”最も『三国志』らしい部分”と評した著者はさすが。たしかに劉備が劉備たるのは道理も計算も捨て去って情に流された東征を行ったからであろう。ここで変に分別を働かせては義侠の物語ではなくなる。三国志として面白くなくなる。それは確かだがやはりつらいなあ。 劉備陣営以外の視点が増えたことや主要人物が次々と退場することなどもあって初期のような軽快さが少なくなってしまったのもちょっとばかし寂しい。2020/11/29
YONDA
12
関羽・張飛・曹操・劉備が亡くなり寂しい限り。呉組・孫権に惨敗を喫し、蜀の行く末はどうなるのか!段々とまともになってきた孔明の活躍を最終巻で期待。四巻一番の驚きは、関羽の子分の周倉は実在しない人物だったということ。2018/12/08
河内 タッキー
9
魏・呉・蜀が対立しつつ、小さなエリアでは手を組んだり裏切ったりしていて、微妙な均衡でバランスをとっている。そんな中、これまで登場していた主要な人物たちが、国対国の大きい戦ではなく、まさかの展開で死んでいく。儚い。2020/08/19
武夫原
8
三国志演義は蜀滅亡や魏簒奪まで書かれているけど、たいていの小説は五丈原で終わる。これも次が最終刊だそうだ。1部からだんだんと勢いがなくなってきている。4部に至っては主要登場人物の退場もあって、ずいぶんとおとなしい。ストーリーをなぞるだけのような展開に。長編小説は最初の筆の力がだんだんと落ちるのが分かるのが、悲しいな。「陋巷にあり」も最初のころの緊張感のある文章がなくなっていった気がする。司馬仲達の変態的なエピソードを作って欲しいところだ。しかし、簡擁はなぜあんなキャラに?2017/08/12