内容説明
カール・マルクスはアメリカでコミューンを立ち上げ、渡英した福沢諭吉や森有礼たちは、蒸気コンピュータを輸入するために画策する。ロマン派の詩人ジョージ・バイロンは英国で首相となり、詩人ジョン・キーツは蒸気映像作家として活躍する……蒸気機関が夢見る鏡合わせの19世紀で繰り広げられる、幻想と爛熟のモチーフに彩られた傑作歴史改変SF、ここに再臨。巻末にはアイリーン・ガンによる「差分事典」増補版を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
63
把握されなかった差異は堂々巡りを続け、それは「自己」という外部への認識できる意識へと繋がる。なぜなら差異を認識し、処理できるのは意識を持つ「自己」でしかないという結論へ至る様は矮小でいて壮大です。それにしても森有礼と福沢諭吉の海外視察、マルクスとエンゲルスによる共産主義の誕生、ダーウィニズムへの反発、ロマン派詩人やラファエロ前派、産業革命による公害や泥雲雀、ロシアの南下を防ぐことになったインドでの独立運動などの当時、あった事象をふんだんに盛り込み、事実との差異を物語に織り込むデティールの細かさが凄いです。2014/09/15
kasim
38
主として世界観や構想はスターリング、物語はギブスン、という分担らしく、ちょっと頭が重くて前者が勝った感じ。充分面白いのだけど電脳三部作の魅力と比べると断片に過ぎるというか(もちろん狙った断片性でも)終盤が駆け足。それでも雷竜の頭蓋骨に結実するコンピュータと古生物の出会いは美しい。歴史上の人物がたくさん出てくるけど、ほとんどがカメオ的登場で大筋に影響しないのはいい。エイダ・バイロンも才媛というより歪さを感じさせ面白いがあまり出てこない。バイロン夫人の独白は強烈なだけに短すぎてもったいない。2021/12/28
ねりわさび
34
蒸気機関により稼働するコンピューターなどの小道具を交えてドラマが進行するスチームパンクSFの開祖的長編小説。共著により部分的にリズムが変わり少し読みにくさもあったのですが、全体としてけれん味のある展開で楽しめました2019/12/14
絹恵
30
THE DIFFERENCE ENGINEは、Self-Reference ENGINEであったし、そしてThe Indifference Engineだったのだと認めることが必要なのだと思いました。螺旋階段を一段上るごとに差異が生まれ、それはやがて人の意思の介在しないところで永遠を生き、イノセンスを叫ぶ存在となるのかもしれないと感じました。(『PSYCHO-PASS』推薦図書)2014/08/10
とも
22
下巻。難しい。会話の意図や物語のつながりを見つけることが難しい。解説を読んでなるほどこんな話だったのかとわかった。2025/10/09




