ハヤカワ文庫SF<br> ディファレンス・エンジン(上)

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ハヤカワ文庫SF
ディファレンス・エンジン(上)

  • ISBN:9784150116774

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内容説明

時は産業革命、英国の数学家チャールズ・バベッジによって発明された「差分機関」の完成で、蒸気機関が著しく発達した1855年のロンドン。蒸気が支配する異形の世界で、革命家の娘シビル・ジェラードは謎の紳士との出会いをきっかけに遥かな冒険を夢想し、古生物学者エドワード・マロリーは暴漢に絡まれる女性エイダ・バイロンを救い、国際的陰謀へと巻き込まれる! サイバーパンクの中心的な作家ふたりが紡ぐ記念碑的名作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

63
SFは種類にも未来や歴史改変ものなど多々、ある。しかし、設定をよく、理解しても理解しなくても「自分の世界とは違うが限りなく、似ている世界」と捉えるなら物語にのめり込むことができる。しかし、この歴史改変のスチームパンク物語ではコミュニケーションの取り方が現実と乖離しすぎている。人々がコミュニケーションを取っている筈なのにそこから見出される認識などの差異を問題視したり、相互理解を図ろうとしない。逆に気にも留めない様子が引っ掛かってしまう。つまり、ギブソン風にいうなら「物語に没入(ジャック・イン)できない」のだ2014/09/15

たきすけ

61
時は蒸気が産声をあげる産業革命時代。蒸気機関による計算機が異様に発達した世界での物語であり、俗にスチームパンクと呼ばれるジャンルに位置づけられる本作。その世界観に絡み合う登場人物達の因果関係も場面の展開が早く、又造語・専門用語も多い。つまるところ状況が把握しづらい印象を終始受けました。 更に解説がまさかの伊藤計劃&円城塔(円城寄り)であり、こちらは言葉の迷宮に誘うような自問自答の文章。ぐぬぬ、、恐らく本書は人を選ぶ方の作品である事は間違いありません。2015/10/03

kasim

38
19世紀仮想のロンドンを舞台にしたスチームパンクの代表作の一つ。独裁者ウェリントンの暗殺後、急進派バイロンが政権を握るも自由経済だけが進んで格差は広がり、社会は限界に近付いている。差分機関(コンピュータ)が全国民の情報を一元管理している一方、博物学人気はいかにも大英帝国だ。紫檀の箱に収められた真珠色のセルロイド製パンチカードの謎は、郷愁とテクノロジーが合体した本作のフェティッシュな魅力を体現しているかのよう。このカードに書き込まれた情報とは?2021/12/21

絹恵

26
シンギュラリティの可能性をIF関数によって明かす試みのようだと思いました。この世界で、自身を見つめることが世界を見つめることであるように、離散の距離が理解の尺度ではないと知ることで好奇心と嫌悪感を秘めるよりも、目を瞑って差異に出逢おうとしない無関心に気付かないほうがよっぽど"悪い子だ"(『紙の本を読みなよ。』と薦められて)2014/08/07

里愛乍

25
まるで視覚に訴えてくるかのような情景と、息苦しさまで感じるような蒸気と臭気。誰が何と言おうとも1855年のロンドンに自分は確かに”いる”のである。この本を読んでいる間には。伊藤計劃&円城塔による解説が見事にこの世界観のイメージを凝縮しているように思う。トバイアス君の仕事っぷりがお気に入り。2014/11/07

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