内容説明
谷村梢(こずえ)は小学校四年生を担任する補助教員だ。「カニは縦にも歩けます!」と理科の授業で実証し、注目されたのは、いじめられっ子・中尾文吾。梢に、スーパーである教師の万引きを目撃したと告げたまま下校。その日、文吾が襲われた。襲われる直前、梢の名前を呼ぶ声を近所の人が聞いていたという。梢に注がれる疑惑の目……。日常の謎が“深い”ミステリーに! 表題作を含む魅力の七篇! 【解説】杉江松恋
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
114
短編7作品。どれも短編とは思えぬような出来。長岡さんの真骨頂さっくりとはいかないうすら寒さがある。(ははぁ、なるほどね~と、後からじんわり来たりもするのだが)ここが私の長岡さんを押す理由だなぁと独りごちる。そして、欲張りな私はもっと読みたい!と思うのだ。2017/02/21
chiru
71
表題作の『波形の声』の余韻がすごかったです。 何者かに襲われた、普段ほとんど喋らない生徒と、疑惑を向けられた補助教員。 短いページ数ですが、どの人物も魅力的に描かれ、謎の真相は最後まで想像もできません。 余計な描写のないラストだからこそ、残る余韻は感動的です。もう1度読み返してしまいました。 ★4.52018/01/25
きっしぃ
45
7作の短編集。伏線がどれも分かりやすいので、正直オチがわかってしまうものばかりでした…(´・ω・`)それでも楽しめたのは「暗闇の蚊」かな。ブラックなオチは好き。2017/03/24
坂城 弥生
44
短編集。表題作の「波形の声」が一番好きでした。2021/04/07
Yunemo
43
何かが残るはずなのに何にも残っていない。7編がそれぞれに個性をもって記されます。表題作については、静かに悪意が見え隠れ、最後の展開で何となくネガティブな気分で納得。あえて抑制した描き方との解説なのですが、そうですかねー、とちょっと頷けないところもあって。全編を通じて、人それぞれが心の奥底に潜ませてる悪意、そこまで極端じゃなくても黒いモヤモヤ感、この感情をそっと盛り込んで、当方ちょっと心に引っ掛かって、決してドーンと一気に入り込むんじゃなくちょろちょろと。だから繊細さがないと何にも残らないんだ。そう想えて‼2017/02/26