岩波新書<br> ルポ トランプ王国 - もう一つのアメリカを行く

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岩波新書
ルポ トランプ王国 - もう一つのアメリカを行く

  • 著者名:金成隆一
  • 価格 ¥946(本体¥860)
  • 岩波書店(2017/02発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004316442

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内容説明

なぜトランプなのか? ニューヨークではわからない.アパラチア山脈を越え,地方に足を踏み入れると状況が一変した.明日の暮らしを心配する,勤勉なアメリカ人たちの声を聴く.そこには普段は見えない,見ていない,もう一つのアメリカが広がっていた.朝日新聞の人気デジタル連載「トランプ王国を行く」をもとに,緊急出版!

目次

目  次
   はじめに
   記者が歩いた「トランプ王国」
   プロローグ──本命はトランプ
   トランプ番記者の予言/トランプらしさ全開/サイレント・マジョリティーが吐き出す不満/ 「王国」を追う
 第1章 「前代未聞」が起きた労働者の街
   ラストベルトの共和党委員長の証言・予備選直後/陣営の想像を超えた集客力/隠れ支持者/にじむ期待感/逆転勝利/ラストベルトのど真ん中を歩いてきた労働者の決断/人間は仕事がなきゃ幸せになれない/ミドルクラスの豊かな暮らし/62歳まで何とか生き残ったぞ/ブルー・ドッグの反逆
 第2章 オレも、やっぱりトランプにしたよ
   スプリングスティーンの歌った街/ヤングスタウンのダイナーで/やっぱりトランプに投票したよ/地元保安官の解説/涙目で語る「真のヒーロー」/トラフィカントとトランプ/真昼のバーで政治談義
 第3章 地方で暮らす若者たち
   今朝、親友が死んだ/中年の白人の死亡率上昇/無関心層からリーダー格へ/身の上話/デイナを立ち直らせた演説/華やかな党大会/独り者だからやっていける/スポンサーのロゴ入りスーツ/たまたまさびれた街に生まれただけだ/成長の見込みのない仕事/1期4年だけ、任せてみたい/旅の話に夢中になる男/42歳で初めて無保険に/8カ月間で142社に落ちた/ニューヨークは最高の街よね
 第4章 没落するミドルクラス
    「嘆かわしい」事件/ 「トランプ党」の支持者/組合員も登壇/私、組み立てラインが分解されるのを見ました/ 「ところで」と工場移転を通告された/政治エリートへの不信/トランプ不在でも盛り上がる会場/広がる不満/派手な演出/建設作業員の「寄せ場」/クラクションで支持表明/空っぽの冷蔵庫/夢は学費を返済すること
 第5章 「時代遅れ」と笑われて
   炭鉱の街/ 「アパラチアの貧困」の代名詞にされて/置き去りにされた人々/貧困率4割/アメリカなのに新車を売っていない街/炭鉱復活「トランプがやってくれる」/炭鉱が戻れば、カネが回る/煙もくもく、溶鉱炉の壁画/あなたリベラルなの!/聞き心地のよい演説/多様性を憂う声/高齢白人に増える共和党支持/床屋談義はトランプ絶賛/アパラチアを制覇したトランプ/9歳で初めて黒人を見た
 第6章 もう一つの大旋風
   5分の出馬会見/地元紙編集長の思い/いつも機嫌が悪い、おじいさん/見込みのない候補/支持者の声/21世紀のフランクリン・ルーズベルトだ
 第7章 アメリカン・ドリームの終焉
   【a】なぜ、トランプ?/ついえたアメリカン・ドリーム/親の所得を超えられるアメリカ人は半分/もはやミドルクラスではない/広がる格差/わかりやすい標的/トランプの強さ/選挙戦は顧客サービス?/【b】トランプ勝利が突き付けるもの/敵意を動員したトランプ/少数派の声の行方/事実が重視されない風潮/人気が落ちた時どうなる?/グローバル化との向き合い方/ブルーカラー労働者の代弁は可能か?/本当の課題?/スキルギャップ/グローバル化の勝者と敗者/ポピュリズムの背景/悲観的な予測/反省から何が生まれる?
   エピローグ──大陸の真ん中の勝利
   おわりに
   〔付録〕cnn出口調査の結果(抄録)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

449
2015~2016年のアメリカ大統領選挙をトランプの支持者を中心に追ったルポルタージュ。マスコミをはじめ多くの人たちは、共和党内の予備選挙でさえトランプが選ばれるとは思ってもみなかった。もちろん、私自身もそうだ。ところが実際にはトランプは大統領選挙にまで勝利したのである。それまでは民主党の牙城であった中西部の工業地帯でも逆転現象を起こした。彼らは東部エスタブリッシュメントにもはや何も期待できなかったのである。彼らブルーカラーの人たちはアメリカン・ドリームの再来を夢見、トランプはそれを約束したからであった。2020/06/16

mitei

280
トランプ大統領が大統領に就任した頃にでた一冊。本当にアメリカの地方は疲弊しているのを実感。確かにアメリカの内陸部は外国からも見えない置き去りにされているように見える。と同時に日本でも問題は似ている点も多いな。しかし大統領制とは国家をここまで支持者とアンチを分断していくなと感じた。日本はまだ天皇制があるので何と無く日本人という括りで反対意見が通っても支持していない人が当選しても納得しない人と衝突するレベルに達しないのは良くも悪くも特徴だなと思う。2020/03/01

えちぜんや よーた

89
「トランプさんは共和党なのに労働組合からのウケがなんでこんなにいいんだ?」と思い読んでみた。右か左かの政治理念で当選したのではなく、没落していく中産階級の不満をうまく票に替えたことがよく分かる。ただこの現象が日本でも起こるかといえば、多分起こらないと思う。アメリカと日本では対立軸が異なる。前者は超富裕層vsブルーカラーという出自の対立だが、日本の場合は親世代vs子世代という世代間の対立だから。日本において時間軸で政治を煽っても既存の政党は右から左まですべて保守派(小さい政府という意味ではない)しかいない。2017/07/16

びす男

89
はぁぁ、おもしろかった。時間をかけた取材だけあって、知られざるアメリカの素顔を見ることができた。自分を含めて多くの人が、トランプの勝利に首をかしげていた。この本は、その違和感に納得のいく説明をしてくれる。あの大統領選は、怒りのあまり盲目になった群衆の暴走ではなかった。ミドルクラスから転落しそうな「普通のアメリカ人」たちの危機感から来る、極めて真っ当な判断の結果だったのだ。この構図は、きっと将来の日本にも当てはまる。東京五輪などを機に「普通の日本人」の生活を脅かす事態が来ないと、どうして言えるだろうか。2017/04/01

molysk

70
2020年米大統領選挙を前に、4年前を振り返る。アメリカン・ドリームは死んだ。親の豊かさを超えられないという鬱屈を抱えた、忘れられた中間労働者層。何が悪いのか。不法移民、自由貿易、そしてエスタブリッシュメント。分かりやすい標的を掲げ、自分こそがあなたたちの味方だ。偉大なアメリカを取り戻す。そんなトランプ旋風の席巻から4年。USスチールの工場閉鎖など、トランプ支持層を取り巻く環境は厳しい。一方で、政権支持率は安定している。アメリカン・ドリームよ、もう一度――そう願う支持者の想いは今回もトランプを支えるのか。2020/03/29

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