内容説明
酷薄な状況の中で,最後まで鋭敏な魂と明晰な知性を失うまいと努め,祖国と愛する者の未来を憂いながら死んでいった学徒兵たち.一九四九年の刊行以来,無数の読者の心をとらえ続けてきた戦没学生たちの手記を,戦後五○年を機にあらためて原点に立ちかえって見直し,新しい世代に読みつがれていく決定版として刊行する.
目次
目 次
『新版 きけ わだつみのこえ』の読者へ……日本戦没学生記念会(わだつみ会)
凡 例
旧版序文
戦没学生の遺稿
Ⅰ 日中戦争期
Ⅱ アジア・太平洋戦争期
Ⅲ 敗戦
旧版あとがき
新版刊行にあたって……日本戦没学生記念会(わだつみ会)
年 表
地 図
手記筆者索引
主要語句索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
199
戦争は、勝っても負けても悲惨。家族に対する手紙は、胸をうち、先に読み進めないものもある。自衛隊が、直接戦闘ではないといえ、海外に進出することに危惧。命を失う可能性のある、起こっている戦争に関与。戦後、すぐの発行時には、軍国主義を鼓舞する内容のものは未掲載とのこと。最初の編集時には、時代的に仕方がないかもしれない。今、「軍国主義」という一言で片付けてきた事の危なさと多様性を知る。実態のすべてを記録として公開し、危うさとばらつきを確認したい。2014/04/14
hit4papa
99
戦後まもない昭和24年に刊行された学徒兵の手記です。当時の知識人であった青年たちが、戦死、病死、消息不明、はたまた死刑にと、死に臨んで残された両親、兄弟姉妹、妻子、友、恋人に語りかけます。戦争に批判的でありながら、国のために命を捧げざるを得ない青年たち。ある者は理不尽な暴力に恐怖し、ある者は満たされない知識欲を嘆き、ある者は無謀な戦いに憤ります。それでも、日本国民のために命を捧げることを潔しとする思いには、親目線で我が子と重ねて切なくなってしまいました。特攻隊、回天の乗員の手記は、特に辛いですね。2021/12/13
yomineko@ヴィタリにゃん
62
なんで、Kindleしかないの・・・日本は敗戦が決定的になっても尚、抵抗を続け罪のない人々を次々と犠牲にしていく。その中でも目をひくのが「学徒動員」。ここに出て来る人達は殆ど帝大の学生さん。前途有望な学生が「死んで当たり前。お国の為に。」喜んで命を捧げるその姿。中には18歳の学生もいて余計涙を誘う。恋人がいる人もいらした。どれ程無念だっただろう。医学部の学生でさえ動員されている事に今更驚いた。あと数か月待てば戦争は終わる。それなのに何故?中にはノーベル賞を取ったかもしれない人達もいるのに。軍国主義反対!2020/09/07
馨
62
学徒の方々の遺された日記や遺書の数々。職業軍人の方々とはやや違い学問半ばにして入営となり、自分なりに生や死、日本の行く末や在り方を考え、時に作家や哲学者、書物を織り混ぜて綴られています。両親、恋人、兄弟への思いはどの兵士の方も一様に同じです。自分がいなくなった後の家族を思う気持ちが溢れています。生きて、日本の未来を建て直す力のある方が沢山いらっしゃったはずです。2013/12/22
あきあかね
37
無限の未来が広がり、様々な夢を抱いていた若人たち。日中戦争、太平洋戦争における戦没学生七十五名の手記や手紙がまとめられている。本来なら最も生を謳歌しているはずの若者が未来を断ち切られる。五百頁もの本書の一文一文が胸を抉る。 意外だったのは、学徒兵の遺書が編まれていると思っていたが、入営前の学生生活や軍での日々の生活も多く書かれていたこと。そのため、感情がより自然に現れ、時を超えて彼らの存在が身近に感じられた。懊悩や諦念もあれば、学生らしい明るいユーモアや過酷な軍隊生活でのささやかな喜び、⇒2020/01/10
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