内容説明
春風と名乗る花魁の幽霊に取り憑かれた書道一筋の内気な大学生・多摩子。二人で結成した「最強の恋愛アドバイザー・春風さん」の噂は、図らずも大学内で有名になっていた。夏のある日、多摩子唯一の親友である林檎の様子がおかしいことに気がつく。問い詰めると、彼女は重い口を開いて告白する。「好きなひとが、できました」。親友の一大事になんとか力になろうとする多摩子だったが、林檎の兄・学との関係もぎこちなくて……。持ち込まれる恋の悩み相談に、書道家としての進路に、自分自身の恋に、揺れ動く多摩子が選ぶ道は――。恋に迷うすべての人に贈る、新感覚の恋愛応援小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
aoringo
86
花魁の幽霊に取り憑かれた書道一筋の大学生女子の話、続編。今回はいよいよ主人公自身の恋と花魁さんの過去が明らかになる。辛いことだってたくさんあっただろうに、吉原一の花魁であることに誇りを持っている花魁さんは粋で素敵だ。傷つくことを恐れて逃げたり自分の気持ちをごまかしたりすることはしない様にしなきゃ。創元推理文庫なのにミステリではないという作者様のお言葉に、恋自体がミステリだからという秀逸な読者様の声。まさにまさに!物語も気持ちよく完結してくれました。2022/07/23
papako
58
シリーズ後半。林檎の恋にガクと多摩子、それぞれの想い。二人がすんなりいくとは思わなかったけど、多摩子らしくて私は好感持てました。春風さんとの別れ、二人の結婚、コンパクトで読みやすく、気持ちいい作品でした。しかし、青森林檎はいいのよ。なんで蜜柑?青森蜜柑って、なんか謎かけみたい。杏とか梅とか。山芋とか!作者の他の作品読んでみよ。2020/02/09
よっち
36
花魁・春風の幽霊に取り憑かれた多摩子の唯一の親友・林檎が恋に落ち、林檎の兄・学との関係にも変化が訪れ、多摩子も書道家としての進路や自分自身の恋にも揺れ動く第二弾。今回は進路にも悩みつつ恋愛アドバイザーとして、大切な友人として、心境が変化しつつある多摩子自身も実際に相談に関わったり、自分もまさかの恋に悩んだりな展開。消えつつある中でも粋で要所をしっかりと締め、その過去も語られた春風さんと、彼女との関わりを通して成長してきた多摩子のやりとりはとても切なくてほろりとしましたが、とても心地よい読後感の物語でした。2017/02/16
山本真一郎
31
読了。シリーズの2冊目。書道に邁進する花沢多摩子と、取り憑いた吉原の花魁・春風による恋愛アドバイザーの物語。創元推理文庫でありながら真正面からミステリを扱っている訳ではない。とは言え人の心の機微を知り尽くした吉原の花魁が手練手管を弄して縺れてしまった恋愛を締め括るところはミステリの名探偵に通じるものがあったのではないか。人の数だけその形が存在して正に千変万化、作者が後書きで書いている様に恋愛こそミステリなのではないか。続編がないのは少々残念だが、ある程度陳腐の感が拭えないとしても良き締め括りだったと思う。2017/07/30
み
25
さくさくと♪二作目も失速せず面白かったぁ(^^)恋バナなんて、この半年聞いてないかも。最後に聞いた恋バナは明日入籍の運びだそうです(^_-)-☆そんなタイミングでこの本が手元に来たとは面白いかも。この作家さん男子なのかしら?むっちゃ女子力高そうです、他の作品も気になります。2020/02/21