新潮文庫<br> 戦争と平和(四)

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新潮文庫
戦争と平和(四)

  • ISBN:9784102060162

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内容説明

ナポレオンの大軍は、ロシアの大地を潰走してゆく。全編を通してトルストイは、歴史を作るものは一人の英雄ではなく、幾百万の民衆の生活にほかならないという歴史観を明らかにしてゆく。また、アレクサンドル一世から一従卒まで、全登場人物559人のすべてを、個性ゆたかに生き生きと描き出すことによって構成される本書は、世界文学の最高峰とよぶにふさわしいであろう。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

392
一方ではロシアの大地に展開する壮大な叙事詩であり、またその一方でそこに生きた人たちの個を描き出した大作。たしかにその意味においては大いにその価値を認めつつ、女性たちに目を向けると物足りなさを感じるのである。まずはナターシャ。瀕死のアンドレイに最期まで寄り添い、真摯な愛を感じていたはずなのだが、彼の死後はさほどの葛藤もなくピエールと結婚する。しかも4人の子をなし(それはいいのだが)、すっかりロシア風の恰幅のいいおばさんになってしまう。そう、あくまでもリアリズム小説なのである。マリアはといえば、これも⇒2023/01/14

ハイク

109
トルストイは何故ナポレオンはロシアで敗走したのかの原因について大いに興味を抱き、この本を記した理由の一つであるようだ。色々な理由が考えられると本に書いている。エピローグの第1章と2章では、同じ人物が書いたとは思えない内容だ。前者は家族、夫婦間の理想の姿を描き、特に女性読者を惹きつける内容だ。後者は全く正反対の哲学者、歴史学者風に書いてある内容の分かりにくい文章だ。この辺から著者の幅広い知識、見識、洞察力等を感じると同時に、妻の支援が想像される。これらから世界の文学で最高峰の評価を得ている理由なのであろう 2017/08/27

扉のこちら側

78
初読。2015年1184冊め。【87-4/G1000】登場人物が559人というのは有名だけれど、実際読了してはっきり覚えているのはやはり主要人物だけだった。それでも英雄や皇帝から、一国民まで幅広い人物がいたなと思わされる。エピローグは物語のエピローグではなくもうトルストイの論文といえる内容。【第7回G1000チャレンジ】【新潮社夏のキャンペーン1962】2015/12/06

NAO

74
重症の怪我を負いながらもナターシャと再会したアンドレイ。それでハッピーエンドとなりそうなものを、生に対して否定的だったためにアンドレイは死に取りつかれてしまい、同じように死の寸前まで行きながらも常に生に対して肯定的だったピエールは、「生の賛美」を謳いあげる作者によって幸福な新生活を与えられる。あまりにも多くの登場人物の中で、悲劇のヒーロー的なアンドレイや、終始明るさに包まれていたピエールやナターシャの陰に隠れてしまいがちだったが、公爵令嬢マリアとニコライが好きだった。2017/01/11

syaori

58
ナターシャとアンドレイの再会、ピエールの苦しい捕虜生活を経て、幸福な家庭を描くエピローグへ。ここにたどりつくまでに、どれほどの喜びと悲しみと迷いがあったでしょう。特に虚無的な、また無為な生活のなかで「生活の目的」を探していたアレクセイとピエール、彼らが得た答えがエピローグに表されていたのではないでしょうか。生きて幸福になること、生きることは喜びであり苦しみであること。最後の小さなニコーレンカの恐怖。彼も父やピエールのように迷い、喜び、悩むのでしょうが、きっと世界はそうやって続いていくのに違いありません。2017/06/02

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