新潮文庫<br> 戦争と平和(三)

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新潮文庫
戦争と平和(三)

  • ISBN:9784102060155

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内容説明

1812年、ナポレオン軍のモスクワ侵入を描く全編中のクライマックス。国土は焼かれ生活は破壊されるが、ボロジノの会戦に示されたロシア民族のたくましい潜在力が無敵のフランス軍を打ち破る。軍の意志を無視して自分の意志に従わせたナポレオンに対比させ、民衆の意志を心の耳で聞きそれに従って勝利を得たクトゥーゾフ将軍の姿に、トルストイの理想的人間像が写し出される。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

411
ロシアとナポレオン軍との戦闘がいよいよ本格的に開かれることになる。これまでの2巻は、なんとなくピエールに肩入れしつつ読んできたのだが、ことここに至ってアンドレイに大きく傾く。ボロジノの戦場に赴いたピエールはなんだか傍観者が戦場見学にやってきたかのごとき風情ではないか。また、ナターシャに対するにも逃げ腰である。一方の彼はこの巻で大いにその存在感を高める。1発の榴弾が至近距離で炸裂するまでは。この後、瀕死の状態にあるアンドレイがナターシャを追想するシーンの描写は全巻の白眉と言ってもいいのではないだろうか。2023/01/13

ハイク

101
第3巻は戦争が中心である。ナポレオンはロシアに侵攻しボルジノの戦が開始された。ロシアの指揮官はクトゥーゾフで老齢であり、彼は戦闘状況報告をその内容よりも、報告者の顔の表情を見て判断する様子を描いており正に実践的である。トルストイは戦争の描写もすごい。実戦の経験があったか、経験者から詳しく聞いたのであろう。ロシア軍はモスクワへ退却した。アンドレイ公爵は軽騎馬隊を率いて戦ったが、瀕死の重傷を負った。ナポレオンはロシア軍をモスクワまで追ったが、モスクワはもぬけの殻だった。ピエールはモスクワに留まった。 2017/08/11

扉のこちら側

73
初読。2015年1183冊め。【87-3/G1000】1812年のナポレオン軍のロシア侵攻の話で、全編中のクライマックス。戦争に進んでいったことは歴史の必然だったというのがトルストイの考えらしい。無数の人々の無数の選択の結果によりそうなったという。【第7回G1000チャレンジ】【新潮社夏のキャンペーン1962】2015/12/05

NAO

55
再読。国全体や国民のことよりも自分の沽券の方が大切な皇帝や戦地での軍隊の悲惨な戦闘ぶりを思い浮かべることもなく遊び興じる貴族たちには猛烈に腹が立つけれど、義勇兵とは言いながら兵士たちが命がけで戦っている戦地でただふらふらしているピエールにはげんなりする。いろんな視点からこの戦争を描くために必要なこととはいえ、アンドレイの真摯さや悲痛に比べて、ピエールがひどく浮ついて見えてしかたない。個人の意思とは無関係にどんどん動いていった戦況は、ナポレオンのモスクワ攻略後、どう変化していくか。2017/01/09

syaori

51
ナポレオンのロシア侵攻が開始。登場人物たちの領地も戦場になっていきます。それにしても、作者が何度も歴史の流れは神の御意によるのだと書くとおり、大局から見るとナポレオンやロシア軍総司令官クトゥーゾフでもその意思などないに等しいもののよう。しかし同時に、歴史の流れは「人々の恣意の総意によって決せられるもの」だともあるとおり、アレクセイの悩みやピエールがボロジノの兵士に見た潜熱、その他の人々の行動が歴史のうねりをつくっているのだという思いも強くなります。モスクワが制圧されピエールがフランス側に捕まって最終巻へ!2017/05/31

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