脳がわかれば心がわかるか──脳科学リテラシー養成講座

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脳がわかれば心がわかるか──脳科学リテラシー養成講座

  • 著者名:吉川浩満/山本貴光
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 太田出版(2016/12発売)
  • 盛夏を彩る!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~7/28)
  • ポイント 720pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784778315191

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内容説明

はんらんする脳科学・脳情報に振り回されず、「脳の時代」を生き抜くための処方箋を示した、平易かつ本質的なマップ(『心脳問題』2004年、朝日出版社刊)から12年を隔てた増補改訂版。改訂にあたって改題しました。
【著書から|増補改訂版に寄せて】
「旧版刊行から約10年、じつにたくさんのことがありました。本書のテーマである心脳問題をめぐる状況も大きく動いています。
 たとえば、脳科学における知見の蓄積、神経美学や神経経済学といった新分野の興隆、あるいは脳波によってコンピュータを操作するブレイン=マシン・インターフェイスのような技術の発展は、旧版で論じた問題をさらに先鋭化させています。これまで技術的な限界もあってウヤムヤのままにしてきた諸問題に、私たちはいよいよ直面しつつあるのです。
 それだけではありません。私たちの無意識のバイアス(認知の偏り)を暴きだす行動経済学の知見や、数度目のブレイクスルーを果たしつつある人工知能研究は、脳科学とは別の角度で、私たちの自己認識と社会のあり方を根底から変えつつあります。いまや心脳問題自体が些細な問題となりつつあるのではないかとすら思えるほどです。
 しかし、それは心脳問題の解決を意味しません。本文で確認するとおり、心脳問題は私たちの心と身体をめぐるもっとも根本的な哲学問題であり、これからも何度でも回帰してくるでしょう。見ぬふりを決め込むのでもなければ、このような厄介な問題に対処する方法は多くありません。ひとついつでも有効な手は、問題そのものの性質や条件を、一度は真正面から考え抜いてみることです。たとえ解決はできなくても、理解することが力になります。諸科学の知識と技術によって人間の定義そのものが揺らぎつつある現在、あらためて何が問題であるかを示す里程標として、この増補改訂版を提示する次第です。」
(「増補改訂版へのまえがき」より)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

40
いわゆる「心の哲学」、「心脳問題」を分かり易く扱った本です。著者の語り掛けが迂遠で、その迂遠さに本書の意味があるのでしょう。内容は、少しネットで調べると出てくるものばかりで、「この本ではここまでしか行かないの?」となります。見方を変えると、脳科学者、哲学者が難しい言葉や理論を使って論じても、そこまでしか行かないのだということを理解するということが大事だということになります。人間が何かを理解することがどういうことかということを考えれば、どれだけ脳科学の知見が増えても、必ず哲学的アプローチが必要になります。2019/07/24

ころこ

35
恐らくこの問題が分からないのは、客体としての脳の身近にあるのは観察者の脳でもあり、定義上観察者は客体(外観)としての心を知り得ず、主体的(内観)な心との混同から生じていることにあるのではないかと思います。これは本書後半にある著者が翻訳したサール『MiND』の説明に合致しています。このことを確かに「カテゴリーミステイク」だということも出来ますが、前半の説明ではこうはいっておらず、一貫性の無さが説得力に欠けるとの印象を与えているのかも知れません。ところで、本書の前半に脱線で書いてあるのですが、脳科学の注目のさ2021/04/09

禿童子

32
とても含蓄が豊かな本で、主題を離れても教養を高める手引きになる。カントの第三アンチノミーというと何やら難しそうだが、「世界は自然法則に還元できない。自由が存在する」という正命題と、「世界は自然法則に還元できる。自由は存在しない」という反対命題が同時に成立する二律背反状態のこと。前者を「日常経験」、後者を「科学」と見立てて、心脳問題をカテゴリーエラーの「疑似問題」として解決ではなく「解消する」のが本書の基本的立場らしい。カントやベルグソンまで持ち出すのは驚きだが、錯綜する議論を整理するのに有用な本でした。2019/08/09

koke

12
心脳問題の入門書というイメージ通りだったのは3章まで。4章では、脳科学の進歩がコントロール型生政治の全面化と政治的思考の脱落という事態につながっていることを指摘する。終章では、一般性をもつ科学では記述できない持続と特異性を論じる。科学者ではない私たちが、「週末の科学者」の放言を真に受けず、世の中の脳中心主義にも染まらないための知恵が色々詰まっている。2023/11/25

ミズグ

10
この本は難問だけあずけられて解決編がない探偵小説のようなものだ。スッキリとした気分を得るには不似合いだが、答えを求められる日々から少しだけ自由にしてくれる旅である。2016/09/06

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