内容説明
凍える夜、慈悲を乞い村を歩く少女に訪れた温かな幸せ――ヒストリカル・ロマンス界の至宝カーラ・ケリーの名作!
英国の小さな港町の片隅で、エレノアはひもじさに耐えていた。子爵の非嫡出子であるばかりに世間から見放され、宿屋を営む祖母と暮らしているが、この半年はひとりの客さえ来ない。ついには長い髪を切って売り払ったとき、港に停泊した船の艦長オリヴァーが宿泊に訪れる。到着するなり体調を崩したオリヴァーをエレノアは懸命に看病した。オリヴァーは厳めしいが、彼女たちの窮状を察すると温かい食事を与え、心地よく暮らせるように取り計らってくれる。エレノアは淡い思いを募らせるが、人並みの幸せなど望めるはずもなくて……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベルるるる
31
「結婚しない」と決めているヒーローと、「結婚できない」と思っているヒロインのロマンス。 ヒロイン父がひど過ぎ。金持ちの愛人として自分の娘達を売ろうとし、スパイ活動をして国を売り・・・。もっともっと酷い目に合えばよかったのに。2018/02/04
たまきら
28
私生児として生まれ、実の父親からひどい提案をされても毅然として生きている美しい女性と、彼女にほぼ一目ぼれし、なんやかやと助けてまわる高潔な海軍の艦長のロマンスです。ちょっと尻切れトンボな気もしますが、暖かな雰囲気で素敵なお話でした。作者のお父さんが海軍出身ということもあってか、頼りがいのある現場の男たちが魅力的。戦場のむごさや権威ある者の汚職といった問題にも触れられ、戦争讃歌がない部分も好感が持てます。2019/05/05
ベリル
23
【Library】ヒーローもヒロインもそれぞれ魅力的で、お互いにいろいろ言い訳しつつ惹かれ合う様子は心が温まった。戦争に関する描写も多めで、昨今の世界情勢を鑑みて、一言一句が沁み入ったわ。特に、戦争で夫を失くした未亡人の描写。詳細な記述じゃないけど、何度も繰り返されるからそれだけ重みを感じる。使用人の元水兵の大活躍も圧巻だった。『拾われた1ペニーの花嫁』と同じ舞台?? 見覚えのある固有名詞がちらほら。2022/03/08
モルテン
16
貴族の私生児であり、港町の潰れかかった宿屋を経営する祖母の孫娘として働くヒロインと、英国戦艦長ヒーローのお話。ゆっくり穏やかにお互いを思いやり、近づいていくヒーロー・ヒロインに、やはりカーラ・ケリーはいいなあ、としみじみ。ヒロイン父を除いて、他の登場人物皆が二人を暖かく見守るのも好き。2016/12/28
uni
13
とにかくストーリーもヒロインも本当に可愛い!そして威厳のある艦長ヒーローがちょっとエロい目でヒロインを見るところも可愛らしくてしょうがないw結ばれることはないだろうと思いながらもお互いに想いを寄せ合っていく2人の恋が切なかったりもどかしかったり。クリスマスにぴったりの一冊。それにしてもヒロインの父がろくでなしすぎて悲しい。2016/12/17