講談社文芸文庫<br> 旅愁(上)

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講談社文芸文庫
旅愁(上)

  • 著者名:横光利一【著】
  • 価格 ¥1,672(本体¥1,520)
  • 講談社(2017/01発売)
  • ポイント 15pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061976399

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内容説明

近代日本人の生き方を根源から問いなおす恋愛思想小説。日本伝統主義者の矢代耕一郎と、対照的にヨーロッパの合理的精神に心酔する久慈、2人が心惹かれるカソリックの宇佐美千鶴子らが織りなす鮮烈微妙な恋愛心理の綾。東洋と西洋、信仰と科学、歴史と民族の根の感情等、横光利一が苦闘した生涯の思索の全てを人物に投影させつつパリ、東京を主舞台に展開させた畢生の大作。(全2冊)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うぃっくす

10
読んでて何度も寝落ちしそうになった。舞台がフランスなだけでほぼフランス人でてこなくて矢代、久慈、たまに東野、千鶴子、真紀子、の恋愛関係や思想の話がずっと続いててこれ別にその辺のサロンでやってればよくない?と思いながら読んでた。下巻も読むけど横光利一としては新しいやり方を模索したつもりかもしれないけど横光利一のよさみたいなものがなくなってて作者隠されてたらこれ横光利一ってわからないな。当時は斬新だったのかなー何十年も読まれる作品ではないのかも。とりあえず下巻に期待してみる。2023/09/22

mstr_kk

6
日中戦争開戦や2・26事件など、きな臭い時代を背景に、外国(おもにパリ)をウロウロする知識人の青年を描いた長編です。欧州に出たからこそ日本を見つめ直そうという主人公の矢代と、素朴な進歩主義者である副主人公の久慈の、恋愛や思弁(議論)がメインです。序盤は、視点の取り方や心理への踏み込み方が定まっていなくて読みにくく、また、近代日本の「問題」をめぐり生真面目な思考を表現する会話と地の文の、あまりのストレートさに辟易していましたが、途中から僕の方でも慣れたのか、楽しめるようになってきました。2014/10/22

ハチアカデミー

6
日中戦争勃発の時、西洋文化の最先端パリで二人の日本人は何を見たのか。憧れ、羨望、理想の全てがあるはずだったトポスで生活をすることで、矢代と久慈はそれぞれに己の考えを改めていく。パリを理想とするのではなく、それぞれの場所に根付く文化を再認識し、あえて言えば国粋主義へと傾いていく矢代と、万国共通の思想・科学を信じる西欧心酔者の久慈がの対話・討論は、いまなお考えさせられる主張が多い。身辺雑記ではなく、社会事情を盛り込み、物語としての恋愛も描く点は「純粋小説」を目指した横光の真骨頂であろう。下巻に続く。2013/05/24

井蛙

5
異なる登場人物に異なる思想を吹き込んで、彼らの折衝を描くことを事とする「対話」の作家(僕はここでドストエフスキーや大江健三郎を念頭においているけれど)とこの苦悩する作家との違いは何だろう。何はともあれ野心的ではある本作には、対話を通じて各々の思想が深化していったり、あるいは各々がそうした対話をやむにやまれぬ行動へと昇華していったりという側面が著しく稀薄であるように感じた。要するにこの作品には、文学として表現されるべき特有の弁証法がまったく硬直してしまっているのだ。それは横光自身の抱える解消しえない矛盾→2021/01/01

讃壽鐵朗

4
文庫本で627頁を82日かけて読了。前半、パリを中心とした西洋文明批判はさることながら、パリにいて日本人だけが常時集まって贅沢な生活をしている様が何とも不快。帰国後は、古神道とカトリックの間での懊悩を題材としているが、単に上流階級の知的生活を描いているとしか感じられない。ただ、戦前の日本語が美しく感じられた。2016/02/25

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