内容説明
1800年6月、忠敬が渡った蝦夷は外にロシア、内に公儀(おかみ)・松前家・アイヌが策略に策略を重ね、だまし合いの地だった。陰謀家の間宮林蔵、変な剣客平山行蔵ら、敵か味方か。アイヌ青年と仲良くなった忠敬に起る、事件につぐ事件、喘息をかこつ忠敬の愚直な一歩は、血みどろ泥まみれの闘いだった。全5巻。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
263
やなせたかしは、54歳から子供向けの「アンパンマン」を書き始め、ファーブルは、55歳で「昆虫記」第1巻を発刊。伊能忠敬はは56歳から実測地図作成のため歩き始め、ジャック・マイヨールは55歳にしてフリーダイビングで海面下105mに潜る世界新記録を樹立。瀬戸内晴美は51歳で出家、寂聴となった。 いづれも、50歳を過ぎて新たな事に挑み、新境地を開拓。井上ひさしは伊能のことを「一身にして二生を得る」(人生を2度生き、他の人の2倍充実)と評価し、この「四千万歩の男」に結実。伊能は、まさに「中高年の星」だ。2022/04/12
NAO
71
資源の宝庫として、北の守りの拠点として、注目され始めていた蝦夷地に踏み込んだ伊能忠敬一行。陰謀渦巻く蝦夷で忠敬がなんとか無事にいられたのは、ただただ愚直に測量のことだけを考え陰謀に関わろうとしなかったからだ。さらに、忠敬は当時の人間には珍しく、アイヌに対しても平等な対応を崩さない。怪しいまでにどろどろとした激動の蝦夷地にあって、常に公平な見方をし、全くぶれることなく自分の信じることを貫き通そうとする伊能忠敬の姿勢は、常に北の空にあって夜空の指針であり続けている北極星をひたすら見続けてきたからこそだろうか。2019/12/24
ヴェネツィア
62
忠敬一行は、旅の本来の目的であった本邦子午線1度の距離の測定にも成功し、この巻では表向きの目的地であった蝦夷地に到着。各地を測量踏破するのだが、そこで見聞きしたものは、和人によるアイヌの人々への苛烈な行いの数々だった。井上ひさしは1976年に約1年間オーストラリア国立大学(キャンベラ)に客員教授として招かれたが、そこでも先住民であるアボリジニの人々に想いを寄せ『黄色い鼠』を書いている。本編も、まったくその延長上にあり、アイヌの人々への共感がベースになっている。中央と辺土の構造もまた、一貫したテーマだった。2012/08/18
てつ
39
なかなか読みごたえのある作品。三へ。2017/08/20
まさげ
16
北海道に上陸してからの測量。日本人がアイヌにとった対応は酷い。あと3巻頑張ります。2023/12/30
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