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内容説明
民俗学の祖として知られる柳田国男。しかしその学問は狭義の民俗学にとどまらぬ「柳田学」として、日本近代史上に燦然と輝いている。それは近代化に立ち後れた日本社会が、今後いかにあるべきかを構想し、翻ってその社会の基層にあるものが何かを考え尽くした知の体系だった。農政官僚、新聞人、そして民俗学者としてフィールドワークを積み重ねるなかで、その思想をいかに展開していったのか。その政治・経済・社会構想と氏神信仰論を中心としつつ、その知の全貌を再検討する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
れぽれろ
6
柳田国男の思想とその背景について考察する一冊。本書では村落共同体の氏神信仰が柳田民俗学の中でとりわけ重要であるとされ、氏神信仰が日本人(常民)の倫理規範のベースになっており、日本人は西洋のような内面的倫理規範を持たないという説に抗う柳田民俗学の一面が纏められています。柳田が民俗学を構想するに至る前提を詳述しているのも本書の特徴で、国民の近代化と普選による民主主義を重要視したリベラリスト柳田が、農村の困窮化の背景にある消費社会化に抗うための手段の模索から民俗学構想をスタートしているという記述も興味深いです。2016/12/03
Schuhschnabel
5
日本民俗学の創始者にとどまらない柳田國男の思想を、いろいろな角度から見ていく本。柳田の指導者としての側面と学究者としての側面の両方を捉えていると思う。新書にあるまじき厚さでかつこれといった山がないため、柳田を知るための最初の一冊には向かない。むしろ、柳田の著作にいくつか触れ、ある程度自分なりの柳田國男像ができているのなら読む価値はある。2017/08/13
Schuhschnabel
3
再読。論文調の文章が500ページ以上続く狂気の新書で、読み終えたときはへとへとだった。それだけ柳田國男の多くの側面を記述することは大変だということの証左でもある。農政学から出発しただけあって、まず関心を持ったのは農民の暮らしだが、その奥にある心もちや信仰をつかもうとするにつれて、都市の住民や漂流民などにも光が当たるようになっていく。学界における注目度が高いゆえに、国家神道や家父長制度への柳田の認識に対する批判などにさらされているようだが、これからも読み継がれていくことに変わりはないだろう。2021/04/12
かわかみ
2
日本民俗学の祖・柳田国男の経世済民観と民俗学開拓の動機を解説した重要な書物。農政学者としての柳田の持論は、地主〜小作関係の解消=小作人の自営農化、国内市場(内需)の重視、軍に対する文民統制、政党による議会政治の発展など、的確で先見的であった。本書は柳田の氏神信仰の考察に紙幅を割いているが将来、自立した農民や労働者が近代社会の中で如何に倫理的な協同をなしうるかという問題意識が柳田の学問の根底にあったとする。故に彼は国家神道やそれに支えられた天皇制のあり方にも批判的だった。柳田の著作を読むための良い導きだ。2022/03/16
iwasabi47
0
柳田の知の体系を農政学から氏神信仰を中心に描いたもの。彼個人の基本的な知識無いと難しいと思う。私も論が妥当かどうか判断しかねる。私個人的には農政学・官僚の柳田を知りたかったのだが、柳田の個人史から叙述していないので私にはイマイチ腑に落ちない気分だ。私の目論見違いだ。関東大震災前後から『公民』を説く柳田の思想史、あるいは本書にも出てくるデュルケームを含めた戦間期の思想に興味が繋がるかもしれない。2016/12/20
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