内容説明
本書は、フロイト以降、アメリカの精神分析の変遷をたどり、心の治療がいかになされてきたかを解説。そして今日、なぜコフートの精神分析が有効なのか。対人関係における共感と依存の重要性を唱えている。心の病とは「自己がバラバラになった状態」だとコフートは言う。過去とのつながり感覚や他者との関係を喪失することで、激しい不安、怒り、妄想に悩む人々がいる。それらは精神病や神経症と診断されてきた。では、精神病と神経症の違いとは何か。精神病とは伝達物資の異常などで脳のいずれかが壊れた状態をいい、妄想や幻覚をともなう。一方、神経症は、脳ではなく心に異常をきたし、不安やパニック状態になることをいう。しかし両者の選別は難しい。そこで、精神病と神経症の間にはさまざまなパーソナリティ障害があり、それがボーダーラインや自己愛パーソナリティ障害として発見されてきたのである。数々のエピソードを交え、やさしく解説した心理学教室。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
B.J.
8
●「甘え」というのも、自己愛と同様に誤解を受けやすい用語ですが、土居先生自身の定義によると「他の人の好意をあてにしたりそれに依存することのできる個人の能力及び特権。」 ●「世界で一番美しいのはだれ」と聞くのは、自分が一番美しいのではないかもしれないという不安があるからで、本当の意味での誇りや自信を持っている人々はそういうことは聞かない。・・・本文より 2020/03/21
B.J.
8
●白雪姫で「世界で一番美しいのは誰?」と聞くのは、誇りや自信を持っている人はそういうことは聞かない。 ●治療の目標は、自己をしっかりさせて自立した人間になれることではなくて、上手に人に依存できるようにすること。 ・・・本文より2020/02/24
lativoir381
2
コフートの心理学を学びたくて購入。心理学の学生ではないので、前半の障害の話はあまり読んでいないが、第4章からを中心に読了。自我と自己の区別や、安定的な自己の概念は大変勉強になった。他者を見るまなざし(自己対象)は、Weak Yuriや百合営業に楽観・悲観を見るオタクの態度に通じるなと感じた。2019/12/16
かがみ
2
著者は精神科医の他、受験アドバイザーの肩書きを持っているだけあって、もし「精神分析の予備校」なるものがあればこんな風な講義なんだろうと言うくらい分かりやすい。いわゆる「境界例」の位置付けや、アメリカ対象関係論や対人関係論、そして土居健郎の甘え理論との関係など、かなり専門的な話にも切り込んでおり、姉妹書「〈自己愛〉と〈依存〉の精神分析」と合わせて読み通せば自己心理学に対する理解が相当に深まると思う。日常の対人関係における「共感力」を高める上でコフート理論から得られるものは多いであろう。2018/02/26
コアラのマーチよりパックンチョ
1
精神分析のモデルチェンジなどがしっかりと押さえられていてわかりやすい。1よりも2であるこの本から読んだ方がいい。2010/02/22
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